蘇る「松坂世代」の記憶!田中大貴アナウンサーが「松坂世代」のヒーローと語り合うトークイベントを開催!
8月11日、「田中大貴と松坂世代たちが今、全てを語る!THE高校野球」と題したトークイベントが都内の会場で行われた。
このトークイベントは、元フジテレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍の場を広げている田中大貴アナウンサーが、1998年の夏の[stadium]甲子園[/stadium]を盛り上げた「松坂世代」の選手たちと語り合うオンラインサロンのイベントとなっており、第2弾となったこの日は豊田大谷出身の古木克明さん、横浜出身の松本勉さん、京都成章の澤井芳信さんの3名がゲストとして出演し、「松坂世代」が大活躍を見せた第80回選手権大会を振り返った。
空前の盛り上がりを見せた第80回選手権大会

豊田大谷高校時代の古木克明さん
まず前半では、80回大会準決勝の京都成章vs豊田大谷の試合を振り返った。
元プロ野球選手で豊田大谷の主砲だった古木克明さんは、京都成章の左腕エースだった古岡基紀さんに抑えこまれ、この試合では4三振。古木さんは「古岡くんのカーブはとてもキレがありました」と悔しそうに語り、当時のことを懐かしんだ。
また、古木さんが[stadium]甲子園[/stadium]の土を握りしめ、ユニホームの後ろポケットにしまい込むシーンが流れると「実は、また(プロ野球選手として甲子園に)戻ってくるんだという思いから、土は持ち帰らないつもりだったんですけど、周りのみんなが集めているのを見て、自分も欲しくなりました」と当時の裏話を語り、会場は大きな笑いに包まれた。
後半では、80回大会決勝の横浜vs京都成章の試合を振り返った。当時の横浜高校のエースで、現在は中日ドランゴンズで活躍する松坂大輔投手がノートヒットノーランを達成した伝説の試合であるが、ここでも当事者ならではのエピソードが飛び出した。
当時、京都成章高校の遊撃手で主将として活躍した澤井芳信さんは、松本勉さんが放った先制のホームランについて「あのホームランは実は僕のせいなんです」と裏話を明かす。
「当時の三塁手はあまり守備範囲が広くなかったので、捕手がインコースに構えると三遊間寄りに守るようにしていたんです。でも、横浜の小倉清一郎コーチはそのことを見破っていたようで、遊撃手が三遊間に寄ったらインコースを狙えという指示が出ていたみたいですね」
会場からは感嘆の声が漏れると同時に、横浜の元部長であった小倉清一郎さんの凄さを改めて実感してる様子だった。
[page_break:時代を彩った「松坂世代」の怪物たち]時代を彩った「松坂世代」の怪物たち

左から田中大貴アナウンサーと元プロ野球選手の古木克明さん
第80回選手権大会の裏話に会場は大きな盛り上がりを見せると、話題は出演者たちが驚いた「松坂世代」の選手について及んだ。当時、横浜の二塁手として活躍した松本勉さんは、驚いた「松坂世代」の選手に、プロ野球でも大きな活躍を見せた新垣渚さんの名前を挙げた。
「神宮大会の決勝で対戦したのですが、とにかく速かったです。あれはびっくりしましたね」
さらに澤井芳信さんは、「火の玉ストレート」と呼ばれる直球で、現在もなお現役として活躍を続ける藤川球児選手を挙げた。
「当時はまだ140キロ前半くらいでしたが、それでもストレートが明らかに速いんですよ」
時代を彩った「松坂世代」の名選手たちの名前が飛び出し、会場が大きな盛り上がりを見せたところで、話題はNPBへの復帰を断念した村田修一選手へと移った。
同世代の選手であり、横浜ベイスターズ時代にはチームメイトとして村田選手と苦楽を共にした古木さんは、もがき苦しむ村田選手への複雑な心境を明かす。
「まだやって欲しいという気持ちはありますが、同じクビを味わったものとして、仕方ないのかなと思いますね」
古木さんも、2009年にオリックスから戦力外通告を受け、その後も独立リーグなどで奮闘を続けた。似た境遇を歩んだ古木さんの言葉には説得力があり、会場にいた参加者たちも考えさせられる一幕なった。
[page_break:「松坂世代」が語る松坂大輔への想い]「松坂世代」のヒーローが語る松坂大輔投手への想い

左から澤井芳信さんと松本勉さん
イベントが終盤に差し掛かると、話題は自然と「松坂世代」の由来ともいえる松坂大輔投手の話へと移った。日本屈指のスターとしてMLBに挑戦するも、近年は怪我に苦しみ続けた松坂投手。それでも今季から中日ドラゴンズに移籍すると、徐々にその輝きを取り戻しつつある。
松坂投手と同じNPBの舞台で戦った古木さんは、松坂選手への熱い思い口にした。
「ずっとユニホームを着てほしいですね。『松坂世代』の由来にもなっているわけなので、やってもらわないと困ります」
また松坂選手とは、横浜高校の一学年後輩の間柄である松本勉さんも「20年経った今でも、色んな人から声を掛けていただきます。本当にありがとことですね」と感慨深く語った。
決勝で松坂選手と対戦した澤井芳信さんは、現在はアスリートのマネジメント会社を設立し、マネジメントという立場からスポーツに携わっている。
「現役の人たちは引退していき、社会人の人は働き盛りになる年で、この世代の人たちはちょうど交錯するときです。そんな中でもう一度輝き、象徴でいてくれるというのは、いろんなところで働いている同級生たちにとって希望です」
年齢と世代交代の波によって退団・引退が相次いでいる「松坂世代」だが、甲子園の名シーンとして語り継がれ、世代を超えて高校野球ファンに愛され続けることは今後も変わらないだろう。
(記事=栗崎祐太朗)