試合レポート

都立東村山vs文教大付

2018.03.17

部員9人同士の乱戦、都立東村山力尽きる

都立東村山vs文教大付 | 高校野球ドットコム
3安打の活躍を見せた平山温人(文教大付)

 部員は9人同士。守りの時は、ベンチはガラガラになり、捕手が打者または走者で攻撃が終われば、内野手が投球練習の相手をした。選手に余裕がないチーム同士の対戦は、もつれた展開になった。

 文教大付の先発・左腕の藤田海人が力のあるストレートに変化球で緩急をつけて、2回で奪三振5。2回裏には長短9安打に押し出しの四球もあって文教大付が8点を入れると、一方的な試合になりそうであった。それでも都立東村山の宮尾公和監督は、「差し込まれていましたから、相手のピッチャーの球は見た目以上に伸びていたと思います。でも、点は取られましたが、しっかり打たれた打球はそんなにありませんでした」と語り、反撃を期していた。

 3回表に東村山が敵失2個に内野安打で1点を返すと、流れが東村山に向かう。
5回表には四死球2個に二失で一死満塁とすると、3番・横澤銀夜の三ゴロがまた失策を誘い東村山が2点を返す。こうなると文教大付の藤田は冷静ではいられない。続く4番・小室俊平が左中間を破る二塁打を放ち、2人が還る。さらに6番・山田真央佳の二塁打で1点を入れて、東村山はこの回5点。試合は全く分からなくなった。

 それでも文教大付はその裏、5番・平山温人の三塁打などで1点を入れて突き放す。
東村山は6回裏に押し出しの四球で1点。7回表は併殺で二死にものの、連続四球の後、1番・大山隼、2番・田辺隼人と連打が出てついに同点に追いついた。

 ここで文教大付は藤田に代えて、背番号1の左腕で、ややサイド気味に投げる平山に交代した。
「秋もこんな感じの試合で負けました。もっと早く代えても良かったのかもしれませんが、夏もあるので、投げさせました」と、文教大付の福島勇監督は言う。

 藤田は6回2/3投げて三振を13個も奪っている。しかし投球の起伏があまりに激しかった。「弱さが出てしまいました。精神面が課題です」と福島監督は言う。

 一方、東村山の先発・木村海里は2回に8点を失った後は立ち直り、試合を作っていた。しかし7回裏、二死三塁の場面で、文教大付の8番・伊東二千翔は投手の二塁手の間にフライを打ち上げたが、これを捕球できず内野安打になり文教大付が1点を勝ち越すと、8回裏には3番・藤田の二塁打や、東村山の守備の乱れもあって4点を追加して試合を決めた。

 東村山は9回表に1点を入れて反撃したが及ばず、最後は東村山が力尽きた形で、文教大付が勝利した。
 勝った文教大付は、次は都大会出場をかけて都立東大和南と対戦する。「去年の春に都大会に出場できたことは、いい経験になっただけに、是非出たい」と福島監督。とはいえ9人で戦わなければいけないだけに、厳しい状況が続くことは確か。「常に崖っぷちですが、マイナスには考えていません」と福島監督は語った。

 東村山は、二塁手が左投げであるなど、9人だけにやり繰りに苦労しているが、粘りは十分に見せた。宮尾監督は、「個々の力を挙げていくしかありません。部内の競争がないのが厳しいところです」と語る。

 秋、春と1次予選での敗退となったが、試合が学校のグラウンドではなく、ともに多摩一本杉球場で試合ができたことは、夏に向けていい経験になったはずだ。とういえ両校とも、まずは新入部員をどう集めるかである。

(取材・写真=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.30

須磨翔風のドラフト候補右腕・槙野遥斗 プロ注打者を無安打に抑えた変化球は秀逸、課題は直球の威力不足<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.30

【鹿児島】鹿児島実がコールド、鹿屋農がタイブレークを制して4強進出<NHK旗>

2024.05.30

【鹿児島NHK選抜大会】樟南が1点差逃げ切り、枕崎の追い上げもあと1歩及ばず

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得