約7割の選手が参加を見合わせた平昌五輪の開会式から考える、高校野球の開会式への提言!
ピョンチャン(平昌)オリンピックの開会式が昨夜行われました。日本選手団は現地の極寒の状況と体調管理を重視して、約7割の選手が参加を見合わせ、行進は役員が中心になりました。選手の状態を優先する判断は賢明だと思います。さらに『こういう時こそ役員だけで良いでしょ』というネット上の声にも個人的にはうなずけます。これは当然、酷暑が予想される2年後の東京オリンピックでも課題になるのではないでしょうか。例え夜にしても、熱帯夜になる可能性は十分あり、競技を控える選手にとっては大事な問題となると思います。
開会式参加による健康状態という点では高校野球も考えなくてはいけないのではないでしょうか。地方大会や甲子園大会では春も夏も何人かが選手やプラカードの生徒が体調不良を訴えてベンチに下がります。そのほとんどは、入場行進後の大会役員や来賓挨拶などで30分近く立ったままになっている時です。酷暑や極寒で「体を動かさずに立ちっぱなしというのは結構キツイ」という声や、「行進している方が体を動かしているので楽です」という声を選手からも聞いたことがあります。実際に多くの選手が密集して立っているのですから、人口密度の部分でも普段の練習で中々できない状況ができてしまいます。これはかなりツライです。因みに閉会式は決勝の2校が横に並ぶだけですので、状況は少しは楽なはずです。
そこでここからは個人的な提案や考えを書きたいと思います。改善策としてまず挙げられるのが、大会役員や来賓挨拶、選手宣誓を短くすることです。
一つの例として、夏の大阪大会で審判委員長の挨拶がありますが、現審判部長の吹田義明さんの挨拶は毎回30秒前後と極めてシンプル。これがかなり好評です。
甲子園大会では大会役員や来賓挨拶は前日のリハーサルでは段取りだけを確認するため、どんなコメントでどんな時間になるかは並んでいる選手ははっきりわかりません。そこで1人1分以内になるように原稿をあらかじめ決めて、それをリハーサルでも同じコメントにする。それでもオーバーするなら1分10秒程度で強制終了できるようにする。近年は凝った言葉になっている選手宣誓も、もっとシンプルにして短くする場合があっても良いのではないでしょうか。これに付随して、国旗掲揚と国歌斉唱を入場行進の前に開式通告のファンファーレと同じタイミングでやればさらに時間短縮を図れると思います。実質的に挨拶以外のセレモニーは優勝旗返還だけにすると、入場行進後10分以内に開会式を終えることができるかもしれません。
もう一つは開会式後の開幕戦に登場する選手達の負担軽減です。入場行進で場内一周をした後、開幕戦の両チームのスターティングメンバーだけはそのまま室内練習場に向かい、セレモニー中はウオーミングアップをできるようにする。実はこの考えのヒントは高校サッカーの入場行進で、開幕戦の両チームはスターティングイレブン以外のサブのメンバーのみが入場行進をするんです。
もし開幕戦のチームが優勝旗返還になるなら、主将ではなくベンチスタートになる代理の選手でも良いと思います。こうすることで、開会式後にバタバタした状況で再ウオーミングアップを急いですることもなくなると思います。
100校以上が入場行進に参加して式典が長くなる地方は、行進を終えた選手やプラカードの生徒をその場に座って休ませることも一つの手です。U-18ワールドカップのように、役員と来賓も椅子を用意して座らせることもできるでしょう。
大会を運営される皆さん、できるできないの色んな声はもちろんあると思いますが、いかがでしょうか?
これから何年も高校野球を続けていくためにも!
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(文:松倉雄太)