園部、宮路、菊地…指名漏れとなった逸材たち
悔しさは次のステージで晴らす!
48名の高校生がドラフト指名された一方で、惜しくも指名漏れを味わった選手がいる。
大阪桐蔭に1失点完投勝利を挙げた長谷川 拓帆(仙台育英)は指名漏れ。140キロ前後の速球を内外角に投げ分ける切れのあるスライダー、120キロ後半のスプリットを投げ分ける投球は高校生としてハイレベルな投手だったが、夏にかけてあまり球速が伸びなかったのが痛かった。指名されなかった場合は社会人に進むことが決まっており、ぜひ3年間で即戦力を期待できる投手になってほしい。
高校通算48本塁打の園部 佳太(いわき光洋)も指名漏れ。夏の福島大会では打率5割を記録したように対応力、長打力もある遊撃手。スイングスピードも実に速い選手だ。指名漏れしたのは残念だったが、大学・社会人・独立に進んで、プロレベルの選手になってほしい。
140キロ左腕・大竹 凌大(総和工)も指名漏れ。強気なピッチング、自慢の速球という長所があるだけに、次のステージでしっかりと伸ばしてほしい
甲子園優勝投手となった綱脇 慧(花咲徳栄)。130キロ後半の速球、スライダー、チェンジアップをコントロールよく投げ分けるピッチングは超高校級の右の技巧派として評するものがあった。岩井隆監督の勧めでプロ志望届を提出。指名があっても、もともと大学にいくつもりだった。いわゆる自分の評価を知るために提出したものだった。どういう進路をたどるか、分からないが、綱脇は引退後も精力的なトレーニングを続けており、ウエイトトレーニングの回数を増やし、レベルアップに励んでいる。次のステージで投げる綱脇の姿が楽しみだ。
最速145キロ右腕・赤星 優志(日大鶴ヶ丘)、宮路 悠良(東海大高輪台)も指名漏れとなった。特に宮路は夏にかけてよくなった右腕。好調時は145キロ前後、切れのあるスライダーで翻弄するピッチングはさすがだったが、ただ高卒プロとなるとワンランク上の投球を求めたかった。ただ、宮路はこの夏で自分のピッチングに自信をつけ、「プロの指導を受けてみたい」と志望届け提出のきっかけに変えた。どういう進路をたどるか注目だ。
佐渡島初のプロ野球選手を狙った菊地 大稀(佐渡)も指名漏れ。躍動感あるフォームから繰り出すストレートは絶品だったが、まだ一歩足らないとみなされたのだろう。まだまだレベルアップは可能な素材だけにぜひ悔しさを晴らしてほしい。
高校通算39本塁打を記録している高畑 光生(高朋)も指名漏れ。NPB入りをかなえるためにどのステージで続けるのか。
140キロ前後の速球、縦に鋭く落ちるカーブで翻弄し、甲子園出場に貢献した北山 亘基(京都成章)も指名漏れとなった。素材として素晴らしい投手なだけに、ぜひ次のステージでは大きく活躍を見せてほしい。
翁田 大勢(西脇工)は馬力だけ全国クラスの投手で、140キロ中盤を計測。ただピッチング術に課題を抱えた投手だった。今年は多くの速球派右腕が育成枠になっているケースがみられるが、そういう投手と天秤を翔けられて指名漏れになったと考えられる。
小松 章浩(おかやま山陽)も躍動感あるフォームから繰り出す速球が武器の投手。高卒プロとなると、一歩足らなかった。
指名漏れとなった選手は大学・社会人に進むケースが多いが、去年は9891(横芝敬愛)が、徳島インディゴソックスに進み、チームの年間優勝、日本一に貢献。今年のドラフトでは全体27番目となる埼玉西武ライオンズ3位指名を受けた。これはかなりの高評価で、9891の選択は大成功となったが、独立リーグの選択肢も入れて、NPBを狙う方法もある。ぜひ3~4年後。あるいは1年後に、今よりも高い評価を受けて、NPB入りの夢をかなえることを期待したい。
(文・河嶋 宗一)