試合レポート

智辯和歌山vs履正社

2017.10.26

智辯和歌山が履正社との乱打戦を制し、センバツ出場へ大きく一歩前進!

智辯和歌山vs履正社 | 高校野球ドットコム

 和歌山1位の智辯和歌山と、大阪2位の履正社。強豪校同士の豪華な対戦となった秋季近畿大会の開幕戦は、智辯和歌山が12対8で乱打戦を制し、センバツ出場に向けて大きく一歩前進した。

 履正社は1回裏、2番・西山 虎太郎(2年)のソロ本塁打で幸先良く先制するが、序盤に一つ目の大きな落とし穴が待っていた。

 履正社先発の植木 佑斗(1年)は、1回表を三者凡退、2回表を1安打無失点に抑えたが、3回表。一死から9番・平田 龍輝(2年)の二塁打を皮切りに、1番・神先 恵都(2年)、2番・西川 晋太郎(1年)、3番・黒川 史陽(1年)の4連打で2対1と逆転を許すと、さらなる追撃を浴びた。続く4番・文元 洸成(2年)に死球を与えて一死満塁とすると、5番・冨田 泰生(2年)には左翼スタンドへ満塁弾を叩き込まれ6対1、2回1/3での降板となってしまった。

 しかし智辯和歌山の一方的な流れになったわけではない。むしろ履正社のほうが優位に試合を進めていたと感じている人のほうが多かっただろう。直後の3回裏は無得点に終わったものの2安打で得点圏、4回裏は中安で出た先頭の三木 彰智(2年)が生還して1点、5回裏は5番・井上 広大(1年)の適時二塁打で1点、さらに6回裏は二塁打の谷川 天哉(2年)を置いて、もはや履正社の若き大砲と呼んでも差し支えないだろう、8番・野口 海音(1年)が広い舞洲の左中間スタンドへ2ラン本塁打を放ち、中盤3回で難なく1点差まで詰め寄った。

 7回表に智辯和歌山は、代打・根来 塁(1年)の適時打で1点を追加するが、8回裏に履正社は、6番・三木の押し出し四球で1点を返し、1点差のまま試合は9回へ。これは投打の力関係からすれば、履正社にとって十分に射程圏内の得点差だったと言ってよい。

 ところが最終回に二つ目の大きな落とし穴が待っていた。マウンドは8回表から登板していた3番手・清水 大成(1年)。9番から始まった8回表は三者凡退に打ち取っていたが、9回表に信じられない大乱調を起こす。一死一塁から5番・冨田の二塁打で二、三塁とすると、まずは6番・東妻の犠飛で1点、途中出場の根来の二塁打で1点、野手の相次ぐ悪送球で1点、9番・平田の適時三塁打で1点、極め付けは自身の暴投で1点と、3回表の植木に引き続き大量失点を喫してしまう。

 9回裏に履正社は、4安打で2点を返すが大量失点を取り戻すには至らず、両チーム合計で31安打20得点となった乱打戦は、二度のビッグイニングを作った智辯和歌山が逃げ切る形で勝利を収めた。

 これで智辯和歌山はセンバツ出場に向けて大きく一歩前進したことになる。準々決勝の相手は奈良3位の法隆寺国際。エース柚留木 優太(2年)の適度に散らした投球と、1番打者の主将・福本 万真(2年)を先頭に繋がる打線を相手に、好試合が期待される。

 敗れた履正社の課題は、やはり絶対的エースの不在であろう。今日登板した植木、背番号1の位田 遼介(2年)、清水以外に、今秋は美野田 雄介(2年)も多く登板している。今日の出来は4回2/3を投げて1失点の位田が最も良かったが、試合によってはまた違った結果が出ている。この4人の中から、そしてベンチ外から、どの投手がエースとしての頭角を現すのか、あるいは底上げした複数投手の継投策を常用するチームを作るのか、来春の投手陣に期待したい。

(文=西村 結生/写真=中谷 明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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