八重山vs美里工
実は因縁の一戦!師弟対決は八重山が制する!最上級の好ゲームに
美里工は春季県大会で準優勝。八重山も昨年の新人中央大会で3位。さらに4月から八重山へ赴任し指揮を執る與那城監督は、3月まで美里工の神谷監督の下で部長として時間を共有してきた。実力伯仲のチーム力と、お互いの考えが手に取るように分かる師弟対決。試合はやはり、1点を争う好ゲームとなっていった。
先制したのは八重山。1回裏、西表 大夢がレフト前ヒットで出塁。二死二塁となって4番東盛 隼己がフルスイングした打球はライトスタンドへ。主砲の一発で幸先良い2点を奪った。追う美里工は2回、5番玉城 雄大がセンター前ヒットで反撃ののろしを上げる。犠打で進塁したのち、次打者は丁寧にボールを見極め四球となったが、一瞬の隙をついて二塁走者が三塁を陥れる。抜け目のないところはさすが美里工。8番が四球を選び満塁とし、さらに次打者も押し出し四球。このイニングの7、8、9番の三者全てがフルカウントを記録するなど、高校野球に精通している指揮官とそれに応える選手たちの技量には脱帽する。二死後、2番佐久本 晃雅にレフト線を破る走者一掃の長打が飛び出る。美里工が大量4点を奪い試合をひっくり返した。しかし八重山もその裏、二死から9番新城一歩にライトオーバーの三塁打が生まれると西表 大夢がレフト前へ運んで1点差に詰め寄る。一進一退の攻防は、観るもの全てを引き込んでいく。
次なる攻防は5回だ。美里工が3番伊佐翼のレフト前ヒットをきっかけに、二死三塁から6番安慶名 優斗のタイムリーで加点すると八重山もその裏、西表 大夢の3打席連続安打から二死一、二塁として、5番伊志嶺 瑠希がライト前へタイムリー。後々に語り継がれるであろう名勝負は、終盤に入るとさらにヒートアップしていく。
8回、八重山は2本のヒットとエラーで満塁とするとワイルドピッチを誘いついに同点に追いついた。9回、美里工は二死一、二塁とするも、途中から登板した八重山の三番手川原 光が踏ん張り得点を許さない。その裏、美里工の先発島袋寿成は三者凡退に斬り、試合は延長へ突入していった。
10回、美里工は先頭打者がセンター前へヒットを放つも得点には至らず。八重山は11回、一死から四球とヒットでチャンスを拡げると伊志嶺瑠希の打球はレフト前へ。二塁走者が三塁を蹴るが、美里工もレフト安慶名 優斗からキャッチャー崎濱 楓希へと渡る完璧な中継で阻止。攻撃も守りも見応えある素晴らしいゲーム。だが13回、八重山は先頭の新城一歩が二塁打で出塁。当たっている西表 大夢との勝負を避けた美里工バッテリーだったが、その後満塁となることを余儀なくされる。そして3番川満 拓也が初球をライト前へはじき返し熱戦に終止符が打たれた。
八重山は、川原が終盤の7イニングを僅か3安打無失点に抑えたのが勝因。前チームからレギュラーを務める東盛隼己にホームラン、伊志嶺 瑠希にタイムリー、川満 拓也にサヨナラ打が生まれるなど、打の3本柱が仕事をやってのけたことも大きかった。
敗れた美里工だが、島袋 寿成の一人で200球以上を投げ切り二桁の三振を奪う力投をはじめ全ての選手たちの躍動は、ファンの目に焼き付いて離れない感動を生んだことだろう。勝負はつけなければならないが、どちらにも白星をつけてあげたい最上級のゲームであった。
(文=當山 雅通)
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