試合レポート

市立柏vs芝浦工大柏

2017.04.16

序盤に得点した市立柏が逃げ切る!

市立柏vs芝浦工大柏 | 高校野球ドットコム
石塚(市立柏)

 春のそよ風というよりは、いたずらな春風が舞っているという感じで、時に、強風の吹くというコンディションだった。そんなこともあって、いくらか集中力を欠くこともなきにしもあらずかもしれない。とはいうものの、風ということで言えば、どちらも同じ条件である。それをどのように受け止めるのか、また、その風がどう作用していくのかということもまた、野球の妙でもあると言えそうだ。

 先制したのは芝浦工大柏で2回、1年生ながら4番を任されている鈴木博明君がやや風にも乗った左越二塁打を放つと、バント失策で一、三塁。最初のスクイズは三走の鈴木君が自重してアウトを重ねただけだったが、続く7番山口裕貴君もスクイズを敢行。これが決まった。

 しかし、無死一、三塁を1失点で切り抜けた市立柏はその裏すぐに反撃。芝浦工大柏の先発真子翔貴君に襲いかかった。まず、6番重松健君が右前打すると、わずかなスキに二塁も陥れる。バントと死球で一死一、三塁として、9番小林太郎君の内野ゴロの間に三走重松君が帰り同点。さらに、1番に戻って矢代航大君が風にも乗った左翼越え二塁打して逆転した。

 3回にも市立柏は一死から、4番大信田雄汰君と三上泰輝君が連打して一、三塁として、重松君のスクイズで突き放す。さらに、2四球で満塁となると、小林君の打球は外野落球を誘って二者が還った。これで、この回3点が入り、市立柏が4点のリードとなった。


 こうなると、市立柏の左腕石塚寿弘君も、比較的リラックスして、楽な気持ちで投げられたようだ。力むことなく、自分の投球を作っていっていた。ことに、中盤以降はいいリズムになっていった。球威やスピードが驚くほどあるというのではないが、やや癖のある一瞬止まるような独特のフォームで打者を交わしていった。

 そして、8回からは加賀谷城幸監督は2人目として青木涼雅君を送り出した。青木君は四死球は出したものの、加賀谷監督の起用に応えて、2イニングを無安打で抑えた。上手に打たせていく投球だった。

 芝浦工大柏としては、いい形で先制したのだが、その後が続かなかったことが悔やまれる。福田允監督は「序盤は3点くらいまでだったら、大丈夫だろうと考えていたのですが、ちょっと予定より取られ過ぎました。相手は打ってくるというイメージはあったので、こちらも打っていかないといけないとは思っていたのですが…、前半のリスクが大きすぎて、ちょっと焦りました。ここ2年、県大会は出られていたので、やはり出たかったですね」と、出場を逸したことを残念がった。

 それでも、1年生の4番鈴木博明君に関しては、「いいものを持っていますし、人間的にも優れていますから、ここ(4番)に置いています」と、入学早々ながら信頼を置いている。中学と高校の一貫校でもあり、そこへ全体の4割程度が外部から入学してくるという形だ。芝浦工大柏中時代には柏市選抜に選ばれていた齋藤太紀君や清水文貴君らを中心として、チームもよくまとまっていたという印象ではあった。柏センバツとしては、市立柏の選手たちとは、その当時からの面識もあったという、まさに、知った同士の対決でもあった。

(文・写真=手束 仁

市立柏vs芝浦工大柏 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.10

【京都】昨年秋2回戦敗退の鳥羽が京都国際と対戦、昨年秋Vの京都外大西は西城陽と対戦<春季大会>

2024.05.10

【香川】昨夏甲子園Vの慶應義塾を招待!春4強が迎え撃つ<招待試合>

2024.05.10

【宮城】5大会連続V狙う仙台育英は名取北と白石工の勝者と対戦、東北とは同ブロック<春季大会組み合わせ>

2024.05.10

【和歌山】2季連続Vを狙う耐久と10大会連続決勝進出を狙う智辯和歌山が対決<春季大会>

2024.05.10

【大阪】「2強」撃破の大阪学院大高が決勝まで突き進むか、興國は45年ぶりの決勝進出に挑む<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>