Column

智辯和歌山高等学校(和歌山)「遠さを知った、その上で甲子園を目指す」

2017.04.14

 2015年夏以来、甲子園から遠ざかっている智辯和歌山。名門校としてこれ以上、甲子園を空けるのは許されない。

 選抜出場を目指していた昨秋の近畿大会は初戦で滋賀学園と対戦。昨年の選抜ベスト8の原動力となった相手エース・神村月光(当時2年)は攻略したが、棚原孝太(当時2年)の前に走者を出しても思うようにあと1本が出ず4回以降は2得点。6対13で敗れた(試合記事)。高嶋仁監督はこの試合に1年生バッテリーで臨んでいた。

「もし勝てたら自信つけて、連続で行けますからね」
目の前の選抜だけでなく、その先の夏も見据えての起用だったが滋賀学園打線の力が上回った。

今年最初の練習試合は選抜出場の札幌第一と接戦

智辯和歌山高等学校(和歌山)「遠さを知った、その上で甲子園を目指す」 | 高校野球ドットコム

主将・大星 博暉(智辯和歌山)

 選抜に出場する年は早めに仕上げて1月から実戦練習を行うが、秋の結果を受け今年は2月に入ってから打撃練習を再開した。その分、技術、体力、精神力を上げようというテーマで冬の練習に取り組みしっかりとトレーニングを積めている。

 キャプテンの大星博暉(3年)はチーム状態について「冬やってだんだん上がって来てるんで、まだまだ成長しないといけないんですけど、今の時点ではいい感じに出来てると思います」と充実の表情。今年最初の練習試合の相手は選抜に出場する札幌第一。「実戦形式が始まって、秋より個々の力は上がっていると実感しています。この冬やってきてどれだけ通用するか。甲子園に出場するチームなので確かめられたらいいと思います」と意気込んでいた試合は2点差で敗れたが、調整具合の差を考えれば悪くない。

 オフシーズンに意識して取り組んだのは守備力の向上。大星は「投手中心に守り切れなかった。2桁取られた試合もありましたし、しっかり守ることを課題としてやってきました」ただし、高嶋監督の求めるレベルにはまだ達していない。右回り5周、左回り5周の計10周行うボール回しでタイムが55~58秒に収まるのが甲子園レベルの目安だが、今季最初の練習試合を2日後に控えた日のタイムは1分1秒台だった。「60秒を超えるっていうのはまだまだどっかにミスがある」(高嶋監督)

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注目の強打の下級生

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文元 洸成(智辯和歌山)

 攻撃面では1年春から中軸を任された2人の下級生に注目が集まる。林晃汰(2年)は「始めの頃は全然球についていけなくて苦労したんですけど、秋ぐらいから慣れてきました。でも他のチームの主力と比べるとスイングの速さや打撃の部分でまだまだです」と高校生活最初の1年を振り返り、チャンスで還せる、1本打てる打者を目指す。

 高校通算本塁打は昨秋の段階ですでに14本。近畿大会では滋賀学園の神村から「打った瞬間、行ったな」というアーチを描いた。「絶対に夏の甲子園に行って(来年の)選抜も行ける、そういう1年にしたいです」

 文元洸成(2年)は「中学まではそれほどではなかったんですけど、勝って当然のプレッシャーの中でやることが多くなったので、その中で結果出せるように、プレッシャーに勝てるようになりたいです」

 昨秋は4番を任されたが「まだ自覚が持てなくてチームを引っ張れなかった。林はチャンスで打ってたんですけど、自分はチャンスで打てなかった」今は「智辯の4番」という自覚を持って練習に取り組んでおり春には一回り成長した姿を見せられそうだ。

「変化球への対応は良くなったと思うんですけど、まだまだ全国クラスのピッチャーが相手になると打てる自信がないです。そういうピッチャーから打って自信つけたいです」今年は「まだ夏、秋負けて甲子園行けてないので夏絶対行けるようにしたいです。春からどんな相手が来ても自分達の野球をして負けないようにして行きたいです」

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遠さを知った、その上で甲子園を目指す

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練習風景(智辯和歌山)

 和歌山=智辯和歌山というイメージがあるが、直近の甲子園出場は2015年の夏。大星達上級生が入学直後のことであり、林、文元達下級生はまだ甲子園の土を踏んでいない。大星も林も入学前には「甲子園はもっと簡単に行けると思ってました」と口を揃えた。

 名門がこれ以上空白期間を空けるわけにはいかない。ラストイヤーを迎える大星は「あと少しなので悔いの無いように毎日全力でやるだけです。最後は絶対、甲子園に行きたいと思います。甲子園行くために(智辯和歌山に)来たので最後行けなかったら何しに来たのかわからない、そういう意味でも絶対行きたいですね」

 上がり目はある。1年夏に甲子園のマウンドを踏んでいるエースの加藤諒(3年)が肘の故障から復帰。冬が開けてからようやく投げ始めたばかりだが、夏へ向けて明るい材料だ。高嶋監督も「5月中旬ぐらいから出てきてくれたらいい」と夏に照準を合わせる。

 春は「取り敢えずシード権取らなあかんのでね。シード取れば5試合で済みますからね」甲子園からは遠ざかっているが個々に力のある選手はいるというのが今年のチームだ。春に経験を積み、エース・加藤が復帰すれば2年ぶりの甲子園が見えてくる。

(取材・文=小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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