News

なぜヘッドスライディングが危ないのか?その危険性をもう一度考えてみよう!

2017.03.28

ヘッドスライディングのリスク

なぜヘッドスライディングが危ないのか?その危険性をもう一度考えてみよう! | 高校野球ドットコム

スライディングの基本は足から。頭から滑るヘッドスライディングはケガのリスクが高まるので避けよう

 野球は投げる・打つ・守るのほかに、走ることが求められる競技です。特にランナーとして出塁したときにはベース間をより効率よくまわって少しでも早くホームに戻ってくることが得点につながります。またバッターとして打席に入ったときにも、打った後には一塁まで走ることになりますが、まれに一塁にヘッドスライディングを試みるシーンを見かけます。審判への「気合い」「執念」といったアピールプレーにつながることもありますが、これはケガのリスクを伴うプレーであることを理解しておく必要があります。

 もともとスライディングの技術というのは二塁や三塁、ホームベース上でのタッチをかいくぐる際に効果的な技術であり、一塁への駆け抜けはタッチプレーを必要としないため、トップスピードで走り抜ける方が早いという意見が多く見られます(駆け抜けることとスライディングを試みることとであまり差は見られないという意見もあります)。グランドとの摩擦を生むようなスライディングによってタイムロスをしてしまう可能性が考えられる上に、固定ベースである一塁に頭からスライディングを試みると、相手の野手にスパイクで手を踏まれたり、突き指や指の骨折をしたりするだけではなく、ベースに手をついた際の衝撃で肩の脱臼を起こしたり、頸部や頭部へのケガをしたりとさまざまなケガのリスクが想定されます。

 肩関節の脱臼は手をベースについた際に何度も目撃しましたが、このとき肩関節脱臼を起こしやすい腕の位置になっていることがその要因として挙げられます。腕を横に90度挙げ、その位置で肘を90度曲げて手を上に挙げた状態(肩関節外旋・外転90度)では、肩の後方から衝撃を受けると、上腕の骨が肩関節から外れて容易に前方へと移動(脱臼)してしまう構造になっています。ヘッドスライディングやランナーの帰塁時などはこうした腕の位置になりやすく、相手の選手がグラブでランナーをタッチしたときに脱臼してしまうことが多いようです。

 また頭からベースに突っ込むことで頭部や頸部へ大きな衝撃が加わり、野手と交錯することによって重篤なケガにつながる危険性も高く、このようなリスクを考えるとヘッドスライディングはケガを誘発しやすいプレーの一つであると言えると思います。アピールプレーも大事ですが、それ以上にケガをしないことが大事です。不用意なヘッドスライディングはなるべく避けるようにしましょう。

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】白鴎大足利・昆野が最速152キロを計測!前橋商の剛腕・清水はまさかの5失点…。チームもコールド負け!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?