Column

自由ケ丘高等学校(福岡)

2017.01.11


集合写真(自由ケ丘高等学校)

県大会前のコールド負けがチームを変えるきっかけに

■春1回、夏1回出場経験のある自由ケ丘
福岡県北九州市にある自由ケ丘高等学校。1947年に開校した同校は2002年に現校名となった。野球部は2010年春2013年夏に甲子園出場を果たしており、OBではオリックス期待の大型外野手・武田 健吾選手が有名だ。
4年ぶりの夏の甲子園出場を目指す自由ケ丘の取り組みを追った。

■ベスト8まで勝ち進んだ秋季大会を振り返る
上原 賢勇主将は今年のチームについて、辛抱強くまとまりがあり、ベンチメンバーの役割がしっかりしているチームだと語る。今年のチームが県大会ベスト8まで勝ち進めたのは、第13回北九州市内高校新人野球大会準々決勝で小倉高にコールド負けしたことがきっかけだ。
「見事に自分たちの弱さや甘さが出た試合でした。勝利に対しての貪欲さがなく、執着心もなかった。チームとしてのまとまりがなく、個々の力だけで戦ってしまった試合でした。あの痛い思いがあったことは良かったと思います」

 それから自分たちの野球を見つめ直した自由ケ丘ナインは県大会を順調に勝ち進み、5回戦で、夏甲子園出場の九州国際大附と対戦。まさにこの試合は自由ケ丘ナインの強みを発揮した試合だった。試合序盤、自分たちのミスに付け込まれての3失点。しかし2番手で登板した1年生左腕の麻生 真司投手がしっかりとゲームを立て直し、我慢の試合展開の中、8回、代打の下池 倖太郎選手が突破口を切り開き、代打、代走攻勢で4得点を入れて逆転に成功してベスト8進出を決めた。

 この試合について上原主将は、
「本当にしっかりと全員が試合に集中でき、役割を意識してしっかりと準備できたのが勝因です」

 しかし準々決勝で九州大会優勝の福岡大大濠と対戦し、0対4で完封負けと悔しい結果に。この試合の敗因について上原主将は「2回の二塁牽制死が痛かったです。流れをつかみにいった時のミスでしたので、相手に流れを渡すきっかけになりました」と分析。福岡大大濠に負けた悔しさを忘れずに1日1日を無駄にしないようにし、春は九州で一番、夏は甲子園に行くという目標に向かって、妥協のない冬を送っている。

■秋の大会で活躍した選手たち

上原主将に秋の大会で活躍した選手たちを紹介していただいた。
まずリリーフで好投し、特に九州国際大附戦のロングリリーフをこなし、逆転を呼んだ1年生左腕の麻生選手、安定した守備と打撃でチームに貢献する木村 大成選手。九州国際大附戦での同点適時打を放った三原 大地選手、小技や足を使った打撃の良さがある今宮 徹太選手。九州国際大附戦の代打として登場。火の出るようなセンター前ヒットを放ち、流れを呼んだ下池選手、九州国際大附戦の代打として適時打を打った阿部 康太選手がベスト8の原動力となった。
また春のキーマンとして、146キロ右腕の柳原 優太投手や、安田 主璃選手、藤本 倖介選手の活躍も期待される。

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[page_break:選手同士で指摘しあえるところが強み]

■充実した環境で冬のトレーニング!
自由ケ丘のウリは徹底した冬のトレーニング。11月から3月までみっちりトレーニングを行い、トライアスロン(ウエイト・プール・ラン)を2時間・2時間・1時間に分けて実施している。練習環境はとても充実しており、専用グラウンド、サブグラウンド、室内練習場があり、九州共立大学のトレーニング施設、プールや400メートルタータントラックなどを使用している。

 これだけではない。綱のぼり、砂場、階段、坂道などもすべて施設にあり、中身の濃いトレーニングができる。オフシーズンの目標として、選手たちは個々の能力(体力・筋力)を最大限に高めて、そしてオフ明けまでに300,000スイングをすることも目標にしている。

 そして自由ケ丘は、2016年、福岡県を代表する好投手として活躍した岩田 諒大投手、2年生の柳原投手と140キロを超える投手が多い。好投手を生み出す秘訣として、投球フォームの体重移動、体重の乗せ方、股関節の使い方を意識し、それを強化するドリルをチームとして実施しているという。この春、投手陣は爆発的な成長を見せることができるか?

■チームの目標と今後の課題

上原主将は今年のチームの目標を語ってくれた。
「春の九州大会で優勝し、夏は4年ぶりの甲子園出場を目標にします。甲子園に出場するチームではなく、甲子園で勝つチームを目指していますが、投手陣がカギとなります。そのために投手陣から柱となる投手が出てきてほしいです」

投手陣の成長に期待を寄せていた上原主将。一冬超えて、柱となる投手が出てきた時、4年ぶりの甲子園出場が近づくことだろう。

選手同士で指摘しあえるところが強み

 ここからは寮長で代打として活躍した阿部 康太選手、正捕手として活躍した藤本 倖介選手にお話を伺いました。

阿部 康太選手(自由ケ丘高等学校)

Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えてください。

阿部:準備の大切さです。自分が打てた打席では、入る前からしっかりと準備ができました。
藤本:投手をしっかりと引っ張れなかったですね。

Q. この冬はどんな冬にしていきたいですか?

阿部:最後の夏に後悔しないよう、妥協のないように練習したいです!
藤本:体も心も鍛えていきたいです。

Q. 野球をする上でモットーにしている、好きな言葉は何ですか?

阿部:フルスイングです!
藤本:最後に笑う。笑いが最上である。

藤本 倖介選手(自由ケ丘高等学校)

Q. このチームの好きなところ、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?

阿部:良い部分は良い、悪い部分は悪いと選手同士で言い合えるところだと思います。
藤本:僕もですが、選手同士で指摘し合えることだと思います。

Q. このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!

阿部:チームで一番多くヒットを打ちたいです!
藤本:盗塁を絶対に許さない捕手になっていきたいです!!

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[page_break:柱となる投手が出てきてほしい]

ウエイトトレーニングの様子(自由ケ丘高等学校)

柱となる投手が出てきてほしい

 最後に西尾 竜馬監督にお話を伺いました。

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 一番は、基礎体力の向上と故障しない体作りです。やはり投手陣の柱を作ること。また個々の能力(体力・筋力)を最大限に高めるのがこの冬のテーマになりますね。

Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 主将の上原も話していましたが、春の九州大会で優勝し、夏は投手陣を中心としたチームで辛抱強く4年ぶりの甲子園出場を目標に、甲子園に出場するチームではなく甲子園で勝つチームになってほしいですね。

 西尾監督、自由ケ丘野球部の皆様、ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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