田中正義、佐々木千隼のように大学4年間で大化けできる!
5球団競合の田中正義も、佐々木千隼も高校時代は野手がメインだった

田中 正義(創価大)
今年のドラフトを見ても多くの大学生、社会人の選手が指名されている。その選手たちが高校時代からスター選手だったか、大学を経由してプロ入りが約束されていたかといえば、そうではない。全くの無名の選手、そして好選手だったけど、4年間で一気にドラフト上位指名選手にまで上り詰めた選手たちが非常に多い。そんな逸材たちを紹介していきたいと思う。
まず最初に紹介するのは5球団の競合の田中 正義。最速156キロのストレートとフォークで圧倒する剛速球右腕。まさに将来の大エース候補として期待される。
高校時代を振り返ると、投手専門ではなかった。1年夏には公式戦の先発を任されるなど将来を嘱望される存在だったが、そこから肩のケガもあり、ようやく復帰した後はセンターで出場。高校時代は主将として夏に臨んだ。最後の夏になって投手として復帰したが、まだこの時、プロにいける投手ではなかった。
その田中が大化けしたのは、大学時代から。投手育成に定評のある創価大の投手指導により恵まれた素質を開花させた田中は、わずか1年で、最速153キロのストレートを投げる剛腕までに成長した。
また外れ1位ながら5球団が競合した佐々木 千隼も、高校時代は野手として通算30本塁打以上を打つスラッガーで、投手としては140キロ超え。本人もまさかここまでの選手になるとは想像していなかったという。
それでも高校時代から自ら考えて取り組む姿勢があった佐々木は、桜美林大に進学したが、一部リーグの打者に全く通用しない時期があり、そこで考え方を学びなおすことに。また桜美林大には当時、桑田 真澄氏が臨時コーチとしてチームに携わっていた時期があり、佐々木は投手としての考えを桑田氏から大きく学んだ。さらにウエイトトレーニングを積極的に行い、肉体改造に取り組んだ。
ここで球速を大きくアップさせた佐々木は同時期に臨時コーチとしてチームに携わっていた野村 弘樹氏から体の使い方などを学び、劇的に進化を遂げた。佐々木にとって、2人の元プロ選手の出会いが大きかったが、それをものにできたのは、佐々木には、しっかりと野球に取り組める姿勢があったということ。まずそこが大事だといえる。
食トレで変身した濱口遥大、中尾輝

濱口遥大(神奈川大)
他では横浜DeNA1位となった濱口 遥大(神奈川大)も、三養基時代とは別人のような剛速球左腕へ成長。濱口は1日4食の食トレ、筋トレなどを重ね、球速は151キロまでスピードアップ。
最速157キロ右腕の中塚 駿太(白鴎大)も、高校時代、140キロ台だったのが、大学で、しっかりと体を作って、150キロ台までベースアップ。さらに投球術を磨いていった。
東京ヤクルト4位指名を受けた最速151キロ左腕・中尾 輝(名古屋経済大)も、高校時代まで130キロ左腕。入学当時のサイズは178センチ62キロだと細身だったのだが、1日5食を課して肉体改造。今では179センチ83キロと20キロも増量し、球速も20キロ伸ばして、大学球界でも屈指の速球派左腕へ成長を遂げたのである。
ここまでの例を紹介すると、投手は二十歳を超えて、肉体が大人になる過程で、大化けは可能で、高校時代、130キロ台となかなか球速が出ずに悩んでいる高校生投手の方にとっては勇気づけられると思う。
肉体的に成長するには、どんな生活をすればよいのか、自分が足りないものを補うにはどんな練習をすればよいのか…とそれを考える探求心など大学4年間は練習量というよりも、必要な練習を自分が見つけ出し、成長していく環境だといえる。
今年も多くの選手が高卒で指名される一方、大学進学や社会人入りを決めた選手たちもいる。大学なら4年間、社会人なら3年間。この期間は非常に長く、それをモノにするか、しないかは本人の取り組み次第となる。
今年、プロ入りが果たせなかった高校3年生でも、次のステージに進んだのち、大きな成長曲線を描いた選手となって、再びのドラフトで、名前が呼ばれることを期待したい。
(文・河嶋 宗一)
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