Interview

内川 聖一(福岡ソフトバンクホークス) 「自らの弱さと向き合うことで、もっと強くなれる」【後編】

2016.08.22

 前編では、福岡ソフトバンクホークスの内川 聖一選手に、4番打者としての思いから、さらには体のコンディション作りの栄養面についてもアドバイスをいただきました。後編でも、内川選手ならではの工夫を伺っていきます!

サプリメント・プロテインも使い「どの時間で、どんな栄養を摂取するか」

内川 聖一選手(福岡ソフトバンクホークス)

「僕の経験として長く現役で活躍している選手と活躍できない選手の違いは、夏場でどれだけ成績を残せるか。食べられない選手はやっぱり夏を越えられないんです。
長く活躍している選手は、『この人、本当に食べるな!』というぐらい大食。だから基本、バランス良く量も多く食べられて、その補助としてサプリメントとプロテインを摂取してもらえばよいと思います」

 それともう1つ内川選手は年齢による摂取量の違いについても語ってくれた。具体的に言えば10代の身体と30代の身体では練習法のアプローチ、食事の摂り方、代謝も当然違ってくる。
実際、内川選手は30歳を超えてから、今度は体重が減りにくい体質になっていることに気付いた。過去には肉離れで戦線離脱した痛い経験も踏まえて、彼は「適正体重」を見出したのである。

「ケガをすると運動量が落ちるため、どうしても太りやすい状態になります。適正体重を保つために、食事の摂り方、栄養バランスもいろいろ考えなければなりません。そこはザバスさんや嫁さんにもアドバイスをいただいて助かっています。
 体重を増やすことは必要なことですが、自分にとって動きやすく故障になりにくい適正体重をケガをする前から見つけることが大事です」

 そんな内川選手にとってサプリメントやプロテイン、そしてサバスによる栄養サポートは、非常に重要な位置を占めている。

「僕が若い頃から、ザバスさんにはいろいろ教えていただいていますが、ホークスに移籍してから個人的に契約をさせて頂いたんです。『今、この時間で、どんな栄養が必要なのか、何を、どんなタイミングで摂取するべきなのか』その理由を教えてもらわないと、自分にとって必要なものなのかが分からなかったのですが、そういうサポートをいただいたことで、プロテインに限らずですが、疲労回復のためのサプリメントもうまく活用できています」

 このような努力の結果、現在は夏の連戦にも耐えられる、かつ最も動きやすい185センチ93キロの適正体重を手に入れた内川選手。「しっかりと食べることが大前提」の上で、適正体重を知り、タイミングよくサプリメント、プロテイン摂取をする。ここは高校球児のみなさんにも大いに参考となる話である。

このページのトップへ

[page_break:「自分の弱みを認める」が日本一の安打製造機への出発点]

「自分の弱みを認める」が日本一の安打製造機への出発点

内川 聖一選手(福岡ソフトバンクホークス)

 そんな内川選手に野球選手としてのあり方、取り組む姿勢についてアドバイスをいただいた。よく上達するためには「量より質」か、それとも「質より量」という議論になるが、内川選手はどちらも大事だと考えている。

「うまくなるためには、『質より量』が大事になる時があり、『量より質』が大事になる時があります。やはり、きちんとした形を量をこなす中で作って、そして質を高めていくことが大事であって、最初から『質より量だ』という議論することは違うと思うんです」

 技術は一朝一夕で出来上がるものではない。長い時間をかけて作り上げていくもの。そしてそれができれば、何度でもできる再現性を高めるために質のある練習が大事になる。さらに内川選手はこう続ける。

「できない選手が『頭の中では分かっているんですけどね』というのはただの言い訳です。それを体で表現する。それを表現できるために量が必要で、そして何度もできるように質を高めるという手順が大事になると思います。僕は打者ですが、一瞬の判断で外角を状況によって引っ張りますし、内角もライト方向へ打ち返す時もある。それができるようになるには、普段の打撃練習から意識的に行って、試合の中で無意識にできるのが理想です」

 とはいえ、内川選手もこのような考えに行き着いたのは最近だという。

「若い時からこんな考えで出来ていればと思いますけどね。僕もプロ入り16年目になりますが、最初はレギュラーをとりたい、そしてレギュラーをとってからはバントの指示は送られない打者になろう!と目標を立てて、段階を踏んでやってきました。
そういう過程を進む中で、いろいろな方の考えを教えていただいて、今の考えに到達できたと思います」

 そこに到達する第一歩とは?「自分の弱みを認める」。最後に内川選手は語る。
「やっぱりできないことを認めることが大事です。できるために必要な作業をしていくわけで、不得意なことを認めないと何の改善にならない。できないのに『本当は俺はできるんだよ』というのは違う話で、そう思っている限り、課題克服の練習を真剣に取り組むことはできないと思います」
 

 高校球児のみなさんも踏んでいかなければならない「心・技・体」そして「栄養管理」。項目別に弱さを認め、見つけ出し、課題を克服する。そして作業の継続。
この手順を丁寧に続ける内川 聖一は、2016年・福岡ソフトバンクホークスの3年連続日本一、そして日本一の安打製造機への道を着実に歩んでいく。

(取材・文=河嶋 宗一


注目記事
【9月特集】「試合の振り返り方」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!