高松商vs高松北
センバツ準V・高松商「新鮮力」で快勝発進!
試合直前の円陣では準優勝を果たしたセンバツと同様に、満面の笑顔を交し合った高松商。しかし、まず彼らを待っていたのは全校応援で後押しするスタンドを含めた高松北による「声の圧力」だった。
エース・浦 大輝(3年・右投右打・180センチ80キロ・香川県立高松北中出身)の不調に伴い、夏の先発マウンドに立ったのは背番号「9」大熊 達也(3年・174センチ74キロ・右投右打・高松市立太田中出身)もその圧力を敏感に感じ取る。先頭打者にストレートの四球。さらに二死二塁とされて打者は4番エースの橋本 大輝(3年・177センチ64キロ・右投左打・香川県立高松北中出身)。いきなり試合の流れを左右する場面がやってくる。
しかし、練習試合で県内外強豪校と対峙し、実績を積み上げて夏主戦をつかみとった大熊。センバツでも好リードを続けてきた植田響介(3年・捕手・181センチ85キロ・右投右打・東かがわ市立白鳥中出身)バッテリーは、冷静さをここで取り戻した。2球で追い込み、打者が1球外しに来るそぶりを感じ取るや外角ストレート3球勝負で見逃し三振を奪取。圧力をまずは受け止める。
そして受け止めた圧力を高松商の勢いに変えたのも新鮮力である。1年生にして練習試合で巧打を連発し2番・三塁手に抜擢された米麦 波留(167センチ64キロ・右投左打・香川県立高松北中出身)はフルカウントで粘った7球目、インコースをえぐるスライダーを右手一本でダイヤモンド内に入れる巧打。それが失策を誘い一死二塁。その後、高松商は遊撃失策で先制点。さらに二死二・三塁から6番・植田 理久都(2年・一塁手・178センチ81キロ・東かがわリトルシニア出身)の2点中前適時打により彼らは最速139キロ右腕の橋本から完全に主導権を握ることに成功した。
2回裏の追加点も大きかった。先頭の9番・荒内 俊輔(3年・右翼手・右投左打・179センチ69キロ・高松市立桜町中出身)左中間二塁打で出塁すると、二死三塁から3番・米麦 圭造(3年主将・遊撃手・右投右打・178センチ76キロ・東かがわ市立白鳥中出身)が左翼線に落とす適時二塁打。練習試合では長らく先発から外れていた主将の復活を告げる一打も、高松北の気持ちをそぐ一因となったに違いない。
結局4回裏には100球を越えて力尽きた橋本ら高松北の乱れに乗じ、6四死球・3失策を絡め8得点を奪って計12得点。90分で勝負を決めた高松商。春夏連続甲子園出場。その先を見据える上でけが、不調からの復活途上の選手が多い中でスタミナ面等を温存。なおかつ新鮮な選手が仕事をできた意味合いからも、実に大きな香川大会初戦勝利となった。
(文=寺下 友徳)
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