試合レポート

日大二vs日体大荏原

2016.04.01

古豪対決は日大二が、辛くも1点差で日体大荏原を振り切る

日大二vs日体大荏原 | 高校野球ドットコム

日大二・川崎君

 昭和時代にともに春夏の甲子園を経験している古豪の対戦となった。

 日大二は1959(昭和34)年の春夏を皮切りに61年春、65年、78年、82年と春2回、夏4回の甲子園出場がある。また、日体大荏原は65年春と69年春、76年夏と3度の甲子園出場がある。いずれも、平成になって以降、甲子園出場はないものの、伝統校でもありずっと応援し続けているというファンも多い。

 そんな両校の対決だったが、日体大荏原の酒井君の先頭打者本塁打で華々しく始まった。これは撃ち合い、手点の取り合いになっていくのかなと思われたが、その後は日大二の川崎君、日体大荏原の16番をつけた須田君の両先発投手が、それぞれ粘りの投球を見せて、点が入りそうで入らないという試合展開になった。

 日大二は2回、3回、5回と無死で安打の走者を出したのだが、日体大荏原の好守もあって得点は動かないままだった。日大二としては、いくらか歯がゆい展開となっていった。

 そんな6回、日大二は2番牧野君からの攻撃だったが、四球で出ると内野ゴロで二塁へ進むと高桑君の四球もあって二死一二塁となる。ここで、6番相澤君が左翼線へ二塁打して、待望のタイムリー打となって同点。さらに、故障で不安のある主砲の林君に代わってマスクを被っている静(しずか)君だが、ここまで2安打と当っていた。その静君が、ファーストストライクを狙い打って中越二塁打して二者を帰して逆転となった。これで、一塁側の日大二応援席は、ここまでの鬱憤を晴らすかのように大きく盛り上がった。

 日体大荏原は、ここまで粘りの投球で踏ん張ってきた須田君を諦め岩田君を送り込んで何とか日大二の攻撃を止めた。そして、7回には失策の走者を置いて、森山君が三遊間を破って続き、バントで進めて一死一二塁。1打同点のチャンスを作った。8番薦田君が中前打して1点差として、さらに一三塁となったが、ここでエンドランをかけたが失敗となり、日体大荏原は同点機を逸した。


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粘りの投球を見せていた日体大荏原・須田君だったが…

 
さらに、9回にも4番井坂君がきわどく内野安打で出ると、森山君の内野安打に四球で一死満塁として、一打同点、逆転という場面。粘った日大二の川崎君はフルカウントから、やや甘いコースだったかもしれないが、薦田君も力が入っていた。却ってとらえきれず投手ゴロ。1(投手)~2(捕手)~3(一塁手)という日大二としては願ってもない形の併殺となりゲームセット。

 古豪対決は、最後までどちらに転ぶのかわからない試合だったが、わずかに日大二が粘り勝った。

 薄氷の勝利となった日大二の田中吉樹監督は、「こんなに苦戦するとは…、やっぱり初戦で固かったですね」と、思惑とは違った展開だったけれども、粘り勝ったことに安堵していた。「先頭打者ホームランは、それ程でも(ダメージは)なかったのですけれども、エンドランなどを仕掛けてこられて機動力使われてきたほうが嫌でしたね」と、相原健志監督の戦術を読んで対策をイメージしていたようだ。それよりも何よりも、「6回1イニングだけでしたから…」と、本来ならば4番における林君を最初から起用できなかったことも苦戦の要因になったことを挙げていた。

 去る3月27日に正式に監督発表となり、4月1日のこの日が正式就任でいきなり指揮を執ることとなった日体大荏原の相原監督。昨年11月からコーチとして見ていたということもあって、選手たちもそれほどの戸惑いはなかったという。「いろんなことを仕掛けていかれるのだということも分かったと思いますし、勝つことはできませんでしたけれども、最後まで集中してやれたことは収穫です。9回は細かいことをやっていくよりも、正攻法でと思っていました」。結果として併殺になったものの、方針通りだったという。

 そして、「これで課題も見えてきたと思いますし、夏を目指して、まずは今の3年生たちに、いい高校野球をやらせてあげたい。私も、伝統ある名門校を任されることになって、自分の野球スタイルを伝えていきたいと思っています」と、思いを語っていた。

(取材・写真=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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