試合レポート

二松学舎大附vs東海大高輪台

2015.11.08

二松学舎大附、コールド勝ちで3年連続決勝進出

二松学舎大附・大江 竜聖

 今大会、初戦(2回戦)の早稲田実業戦で逆転勝ちを収めて以後、圧倒的な力をみせている二松学舎大附。対する東海大高輪台は打撃好調で、二松学舎大附の左腕・大江 竜聖との対決に注目が集まる一戦。

 1回表東海大高輪台は1番で主将の嶋﨑 草太郎が二塁手と中堅手の間にフライを上げる。これを二松学舎大附の二塁手・鳥羽 晃平がグラブに当てながらも捕球できず、二塁打に。2番の森田 直人が送り、東海大高輪台は一死三塁のチャンスを得た。

 これまで前半飛ばすことの多かった大江は、「前半は抑えるように意識していました」と語るように、落ち着いた投球をみせ、後続の2人を内野フライに打ち取り、得点を許さない。東海大高輪台にとっては、このチャンスを生かせなかったのは痛かった。

 その裏二松学舎大附は、1番・三口 英斗が四球で出塁し、2番鳥羽の放ったゴロは野選となり、無死一、二塁。3番・市川 睦の三塁へのバントは内野安打。さらに一塁への送球が暴投になり、三口が還ってまず1点。

 さらに4番・永井 敦士が左中間への二塁打を放ち、鳥羽が生還。続く今村 大輝は、遊撃手と中堅手の間に落ちる安打で1点を追加。さらに6番・橋本 雅弥は遊撃手への併殺打になったが、その間に永井が還った。東海大高輪台の先発、左腕のエース・飯塚 啓貴にすれば、内野のミスや不運な当たりもあり、完璧に打たれたわけではなかったが、初回に4点を奪われた。

 それでも東海大高輪台は、2回表に二塁打の6番・山木 瑠也を8番の村田 康貴が中前安打で還した。この時点では二松学舎大附市原 勝人も「もつれるかなと思いながらみていました」と語るように、試合はまだ分からなかった。


東海大高輪台・嶋﨑 草太郎

 しかし、4回裏に1番・三口 英斗がうまく流した二塁打で1点を追加すると、東海大高輪台は5回表の攻撃で、飯塚 啓貴の打席に代打を送った。5回裏からは1年生の右腕・宮路 悠良がマウンドに上る。二松学舎大附の猛攻はここから始まる。

 この回先頭の3番・市川 睦が遊撃手と中堅手の間に落ちる安打。これが二塁打となる。4番・永井 敦士は死球、5番・今村 大輝の左前安打で市川が生還する。この日今村は、4打数4安打の大当たり。さらに6番・橋本 雅弥は二塁打、7番・遠藤 聖生の右前安打、9番の代打・平野 潤の二塁打と続き、この回一挙5点。

 10対1となり、あと1点で5回コールドが成立する点差になった。翌日の決勝戦のことを考え、エース大江 竜聖の負担を少しでも減らしたい二松学舎大附の市原監督は、平野 潤に代えて、足の速い島根 寛人を代走に送ったが、あと1点を追加することはできなかった。

 それでも7回コールドには余裕の点差。これまで力の配分を考えて投げていた大江は、7回に一気にギアを上げ、最後の打者には、自己最速となる145キロを記録。7回を被安打3、奪三振5、失点1の完投勝利を挙げた。投球数はわずか77。多く投げたイニングでも15球と、安定した投球が光った。

 実は準々決勝が終わった後、2年生は沖縄に修学旅行に行っていた。「いい気分転換になりました」と大江。昨年は決勝戦で敗れているだけに、「ここで気を抜いたら、今まで勝ってきた意味がありません」と、決勝戦への決意を語った。

 市原監督は、「のびのびとやらせたい。厳しい戦いになると思いますが、逃げ腰にならないでほしい」と語る。二松学舎大附は2年連続決勝戦で敗れているものの、変な気負いはなく、決勝戦に臨む。

 一方東海大高輪台は、好調の打線がわずか3安打に抑えられた。好投手をいかに打つか。1年生が多いチームだけに、この敗戦が良い刺激になってほしい。

(文=大島 裕史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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