試合レポート

東海大甲府vs春日部共栄

2015.11.01

11得点を挙げた東海大甲府が7回コールドの好発進!

菊地 大輝(東海大甲府)

 今夏の甲子園ベスト16で、秋季山梨大会を制した東海大甲府と、地元・埼玉県の3位校として関東大会に滑り込んだ春日部共栄の一戦。

 東海大甲府の先発は甲子園でも3試合に登板した菊地 大輝。初回は、先頭の山﨑 星夜から空振り三振を奪うと、2番・木村 圭汰には四球を与えたものの、3番・関谷 将貴を低めの変化球で空振り三振。4番・濱田 大輔を遊ゴロに打ち取り、無難な立ち上がりを見せた。

 一方、春日部共栄の先発は背番号18の右腕・大道 温貴。こちらも1番・萩原 杏磨を遊ゴロに打ち取った後、2番・谷口 極に四球を与え、3番・福武 修は二ゴロと、菊地と同様に二死一塁の場面を迎えた。ここで東海大甲府は積極的策に出て福武が二盗に成功。すると、4番・松岡 隼祐がライト前へ弾き返し、あっさりと先制点を奪った。

 2回裏も東海大甲府は7番・栗田 峻至と9番・新納 明憲のヒットで一死一二塁のチャンスを作ると、1番萩原がライトオーバーのタイムリーツーベース。2番谷口も三遊間を抜く2点適時打で3点を追加。

 攻撃の手を緩めない東海大甲府は3回裏も一死満塁から8番・菊地のタイムリーや萩原の犠飛などで3点。3回を終えた時点で7対0と大量リードを奪った。

 東海大甲府の攻勢はまだ終わらない。
5回裏、この回から登板した春日部共栄の二番手・鈴木 慎吾が制球を乱し、4四球で押し出しを与えて降板。三番手の石川 広大は3番福武を浅いセンターフライに抑えたものの4番松岡にまたもや押し出しの四球を与え、さらに満塁のピンチ。もう1点追加されれば試合が終わってしまうシチュエーションだったが5番・原田 隆聖は中飛。ギリギリのところで石川が踏ん張りを見せた。


大道 温貴(春日部共栄)

 東海大甲府菊地 大輝はカーブなどの遅い変化球を有効に使い、速球との緩急差を使ってゴロを打たせるピッチング。5回まで3安打無失点と好投していたが、何とか望みをつないだ春日部共栄は6回表に反撃。
センター前ヒットで出塁した関谷をセカンドに置いて、4番・濱田 大輔がライトフェンス直撃の適時三塁打。続く5番・磯田 歩甫も右前安打を放ち2点目を挙げると、ここまで快調な投球を続けてきた東海大甲府・菊地のリズムが崩れる。

 6番・肥土 慎之のバント処理をミスすると、7番・伊藤 束紗の一二塁間寄りのゴロに対し一塁ベースカバーが遅れて満塁(記録は共に安打)。ここで途中から8番に入っていた多田 祐大のスクイズを本塁へ悪送球し、さらに2点が入った。点差も5点まで縮まったが、ここで開き直ったかのように9番石川 広大、1番・山﨑 星夜を外角の真っ直ぐで連続三振。エースの意地を見せ、みずからが招いた悪い流れを断ち切った。

 6回裏、東海大甲府は6番・川上 和輝のヒットと四球で出たランナーを犠打で進めると、二死二、三塁から1番・萩原 杏磨がレフトへダメ押しの2点適時打。7回表は、菊地の後を受けた松葉が春日部共栄を無得点に抑え、東海大甲府が11対4の7回コールドで準々決勝に進んだ。

 11安打で11得点を挙げた東海大甲府打線の好調ぶりが目を引いた試合。関東大会は連戦が続くだけに、コールドで投手に無理をさせずに勝ちあがれた事は好材料と言えよう。

 一方、春日部共栄の先発・大道 温貴は力のある真っ直ぐを投げ込んでいたが、追い込んでからの決め球に苦労していたところが見られた。空振りを取れる変化球を磨くか、配球にひと工夫がほしいところだ。また、春日部共栄は3投手で10四球。埼玉大会から課題だった投手陣の制球力の不安を解消できなかった事が敗因となった。

(文=大平 明


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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