試合レポート

大体大浪商vs大阪偕星学園

2015.09.27

大体大浪商が夏のリベンジを果たす

 大阪偕星学園が悲願の甲子園初出場を成し遂げてから約2ヶ月後、場所も組み合わせも全く同じ夏の決勝戦再現となるカードが実現した。

 先制したのはリベンジに燃える大体大浪商。初回に木村 税(1年)の犠牲フライ、2回にキャプテン・武田 寛太(2年)の2点タイムリーで3点を奪い試合の主導権を握った。

 試合開始早々に3点を失い追いかける展開を強いられた大阪偕星学園はオーダーからも山本 晳監督の苦心ぶりが伺えた。背番号6の的場 優斗(2年)が先発マウンドに上がり、背番号2の岸 頼大(2年)がファーストで背番号3の枚田 怜(2年)がセンター。スタメンには2桁の背番号をつけた4人の1年生が並ぶなど甲子園出場によりスタートが遅れた新チームは試行錯誤の真っ只中だった。

 初回の一死一、三塁のピンチではサードゴロで三塁ランナーの動きにつられたサード・高山 翔地(2年)がゲッツーではなくランナーを殺そうとした結果オールセーフにしてしまい、2回二死二塁で第1打席にヒットを打っている大体大浪商の1番・田村 将太(2年)を迎えた場面でキャッチャーの笹田 隆弥(2年)がベンチまで確認に戻り守備のタイムとしてカウントされてしまう。未完成のチーム故の脆さが出て序盤に3点を失った。

 逆に序盤の3得点に手応えを感じていたのが大体大浪商の四田 勝康監督。
「3回までに初めて点を取った。前半に欲しかった。それで西田で逃げ切りたかった」と、大きな信頼を寄せられる右の本格派・西田 光汰(2年)だが前日に続いての連投であることとリベンジしたいという力みから立ち上がりにカーブが浮き、ストレートのコントロールに苦しむボール先行のピッチングとなった。ただそれでも3回をノーヒット。その後1点ずつを取り合い4対1、大体大浪商が3点リードして5回を終了した。


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2015年秋季大会

勝ち越しの適時打を放った溝端 健太(大体大浪商)

 4回にスクイズで1点を返したものの中々流れをつかめなかった大阪偕星学園だが持ち味は打力。6回一死から旧チームでも主軸を打っていた岸 頼大がツーベースヒットを放つと4番・キャプテンの的場 優斗がタイムリースリーベース。前の打席でスクイズを決めた枚田 怜もタイムリーで続き、右田 黎(1年)が右中間を破ると一塁から枚田が長駆生還。一死からの4連打、3連続タイムリーで一気に試合を振り出しに戻した。

 終盤勝負となった7回に打線がつながったのが大体大浪商。1番からの好打順で一死一、二塁のチャンスを作ると4番・溝端 健太(2年)がレフト前に勝ち越しタイムリー。この回さらに木村 税山本 一樹(2年)のタイムリーで3点を加えた。

「あの得点が西田に勇気と元気を与えた」と四田監督が話した効果的なリードを奪うと西田は8、9回をノーヒット。
「夏から技術的にも精神的にも成長している。悪いなりにでも勝ち越されず勝ち投手になっているのがエース。俺が甲子園に連れて行くんだと強い意志を感じる」と監督に称えられたエースは「1点差でも勝ったら。抑えられるピッチング、粘りの投球をしたい」と連戦となる次週を見据えていた。

 敗れた大阪偕星学園は8回に本職の投手をマウンドに送るもあわやコールド負けというピンチを招き結局、ショートにまわった的場を再び登板させることに。攻めても試合を通じて4度のバント失敗と2度の守備妨害でアウトを6つも献上。オフシーズンに代名詞となった猛練習を積んで春の逆襲を目指す。

(文=小中 翔太


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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