桐生第一vs高崎商
桐生第一が7回に挙げた貴重な1点を守り切って、7年ぶり甲子園へあと一つ
ついこの間始まったかと思った地区大会も、あっという間に佳境を迎えて、この週末は準決勝決勝が相次いでいる。群馬大会準決勝は、気鋭の私学と伝統の公立商業校との対戦という構図となった。
99年に全国の頂点極めた桐生第一。以来、県内の多くの学校から目標とされ続けてきた。
たしたいという思いは強いであろう。
桐生第一は注目のエース山田君の先発。立ち上がりに一死から3連打で満塁のピンチを迎えたが、後続を抑えて無難に終えた。これに対して、高崎商の栁澤君は球のキレはあったが、3四死球でやはり満塁のピンチを作るが、大きなカーブで三振を取り切り抜けた。こうして、お互いに走者をためながらも、何とか抑えるという形で試合は両投手の投げ合いという展開になっていった。
山田君は130キロ台後半のストレートとスライダーを中心に組み立て抑えていく。ここぞというところで、三振を奪えるのも見事だ。栁澤君は力のあるストレートで度胸よく内側を突きながら、時に角度のある大きなカーブが有効で、打者の打ち気をそいでいく。
春の大会でも対戦している両校は、その時は7対6で桐生第一が打ち勝っている。そんな結果も踏まえて、3~5点を巡る攻防かなと思われていたが、予想以上の投手戦という展開になって、6回までで高崎商は8安打しながらも0。山田君の粘りの投球が光った。そして、栁澤君は桐生第一打線を3安打で0に抑えていた。こうして、試合は1点を争う戦いとなった。
そんな7回、桐生第一は先頭の7番小野田君が右中間を破る二塁打で出ると、福田治男監督は久保君にバントを指示したが、栁澤君の好フィールデングもあって三塁アウト。桐生第一はチャンスを潰しかかった。それでも、9番石井君が送って二死二塁とする。1番に返って吉田君は四球を選び二死一二塁。続く翁長君がしぶとく中前へはじき返して、二塁走者の久保君が帰って、これケガ貴重な決勝点となった。
山田君は、終盤になってエンジンが再度かかったような感じで、7、8、9回を3人ずつで抑えて見事完封で切って取った。
富岡 潤一監督が、前橋商から異動してきてすぐの2012(平成24)年に甲子園出場を果たしている高崎商。今年の3年生は、それを見て入学してきた選手たちでもある。昨夏は初戦で樹徳に、昨秋は準決勝で前橋育英に、今春も準々決勝で桐生第一に、そしてまたしても桐生第一に敗れた高崎商。強豪私学の壁に泣かされてきてはいるが、それでも入学してきた生徒たちだけでチームを作っていくのが公立校のあり方という思いの富岡監督だ。この敗戦から、また次の「TAKASHO」をどう作り上げていくのか、期待したい。
桐生第一は気がついたらもう、7年ぶりになるが甲子園出場へあと一つとなった。
(文=手束仁)
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