試合レポート

大阪商大堺vs浪速

2015.07.16

9回二死から逆転サヨナラ劇!大商大堺が浪速との激戦を制する!

 シード制がない大阪府。大会前は大阪桐蔭vs履正社の対決で盛り上がっていたが、こちらも面白い対決といえるだろう。昨秋の近畿大会出場チームの大商大堺と伝統校・浪速の対決も2回戦屈指の好カードである。

 さらに台風11号の影響で、雨風が強くなり、一時は土砂降りの中で、行われた一戦。天候同様、試合は荒れ模様となった。
 浪速は1回表、二死から3番越智 覚士(3年)が粘りに粘って四球で出塁すると、さらに4番板橋 健太朗(3年)の右前安打で続くと5番大田 将也(3年)の右前適時打で1点を先制すると、さらに5回表には、代打・金谷悠雅(2年)の適時二塁打で2対0と差を広げていったが、6回裏、大商大堺は二死二塁から5番西山滉一(3年)の適時打で1点を返し、2対1と1点差に迫る。

 だが浪速は打線が活発だった。7回表、二死二塁から代打の中井裕斗(2年)の適時二塁打、さらに8番木村 大二郎(2年)が左中間を破る適時二塁打が飛び出し、2点を追加し、4対1と差を広げ、8回表には4番板橋の適時打が飛び出し、5対1と差を広げる。浪速だが、投打ともにレベルが高い選手が揃う。

 まず1番八藤 克季(3年)は165センチ65キロと小柄だが、身体能力が高く、俊足と強肩が光る。何より、ボールを当てるセンスと食らいつきが良い。この試合では左中間を破る三塁打。三塁にあっという間に到達した走塁技術は見事であった。試合に出れば、常に見せ場を作るトップバッターで実に嫌らしい選手。3番を打つ越智はまだ強くボールを打つ形ができていないのは気になるが、粘り打ちができて、つなぎができる選手。対戦して嫌と感じさせる。4番でキャッチャーを務める板橋は広角に打ち分けができる選手で、また2.00秒前後のスローイングができて、攻守の要である。

 そしてエースの北野広樹(3年)は、インステップ気味に踏み出すフォームから投じる右サイド。常時135キロ前後(最速136キロ)の速球を両サイドに投げ分ける高校生としては速球派サイド。腕の振りが鋭いのが特徴で、120キロ前後のスライダーも投げ分けるが、基本的にストレートをインコースを強く投げたり、出し入れしながら勝負するタイプ。調子が良ければ、常時140キロも期待できる投手だろう。だが、ストレート以外に生かせる球種がなく、ややコンビネーションが乏しいところが気になった。

 大商大堺はそこを見逃さなかった。


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 8回裏、大商大堺は一死一、二塁から4番澤端侑(3年)が高めに入った直球を見逃さず、右中間を破る適時三塁打で2点を返し、3対5の2点差に迫る。まだまだ諦めないという気持ちが感じられる一打で、9回表、2番手の山口瑛士(3年)が9回を無失点に締めると9回裏、大商大堺は二死一、二塁から2番佐々木 祐成(3年)の適時二塁打で4対5と1点差に迫ると、先ほどの打席で安打を放っている3番今江勝政(3年)が左中間を破る適時二塁打を放ち、5対5の同点に追いつく。今江は一塁を回って大きくガッツポーズを見せ、大商大堺スタンドは大盛り上がりを見せた。土壇場での同点劇である。

 そして先ほど2点差に追い上げる一打を放った4番澤端が打席に立つ。二死二、三塁で澤端が放った二ゴロはぼてぼての当たり、際どいものになるかと思われたがセカンド・越智は捕球ができず、サヨナラ安打に。大商大堺が9回二死から2点差をひっくり返し、逆転サヨナラ勝ちを決めた。見応えある戦いであったが、大商大堺は勝負に行く北野広が投じる直球に狙いを絞り、甘く入ったコースを見逃さずに打ち返すスタイルが奏功した。

 やはり3番今江(中堅手・175センチ65キロ)4番澤端(三塁手・177センチ67キロ)のコンビは別格で、今江はややグリップを高く掲げた構えから、フルスイングをして鋭い打球を飛ばす選手。第1打席はやや対応が遅れても、その後は修正をして、しっかりと結果を残す選手だ。そして4番澤端はスクエアスタンスで構える姿は雰囲気があり、ヘッドスピードが速いスイングかた放たれる鋭い打球は速く、外野手の間を抜く打球を連発する左打者だ。

 次は大阪偕星学園と激突することとなった。甲子園へ向けてさらに厳しい戦いが続くが、今日のような粘り強い試合運びを展開できれば、激戦が期待できそうだ。

(文=河嶋 宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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