興南vs宮古
圧巻の奪三振ショー!そして31イニング連続無失点で締めくくった興南・比屋根
興南先発の比屋根雅也
「キャッチャーの構えたところに上手く投げることが出来た結果ですが、やはり嬉しいですね。」
試合後のインタビューで、初々しさを覗かせながらそう答えた興南先発の比屋根雅也は、まさに圧巻の投球内容だった。
1回裏、三者連続三振のスタートを切るが、それだけではなかった。
「体を起こして、外で勝負するというプランがハマりました」と、教えてくれた女房役の佐久本一輝とのコンビネーションも良かったよね、と語った我喜屋優監督。その比屋根は、何と4回ワンアウトまで10打者連続の奪三振ショーを展開したのだ。
11人目の打者にショートゴロを打たれ、5回に四球を与えたが依然としてノーヒットピッチングを続ける。
が、6回にヒットを与えると「余り無理をさせないように大事に育てないとね。」(我喜屋監督)との、ここまででいいよ、ご苦労さん。といったお役御免的な降板だったが、連続無失点イニングも31に伸ばしての、堂々たる内容だった。
これに打線も応える。
美里工、沖縄尚学相手となった準々決勝と準決勝(試合レポート)の2試合で3得点だったが、この日は大爆発。3回表には二死満塁から5番石川涼のタイムリーで2点を先制すると、続く4回にも仲響生、砂川謙斗の連続ヒットなどで一死満塁。そして3番比嘉龍寿、4番喜納朝規に連続2点タイムリーのあと、石川にもライト前へのタイムリーが飛び出すなど大量6点を刻み込み試合を決めた。
6回にもダメ押しの3点を加えた興南打線は、クリーンアップの3人で7安打8打点をマークするなど、15安打11点の大爆発。一番長く優勝から遠ざかっていた春季県大会では2002年以来となる、実に13年振り6度目の頂点に輝いた。
勝った興南は、選抜に出場した糸満とともに佐賀県で行われる第136回九州地区高校野球大会へ、県代表として出場する。
敗れた沖縄宮古だが、前日準決勝で9回裏ワンアウトから見せた驚異の逆転サヨナラといい、素晴らしい試合を見せてくれた。エース松川竜之丞は、興南戦こそ大量失点してしまったが、一回戦から準決勝まで一人で投げ続けてきた成績は秀逸であり、前原、石川戦での連続完封を含め42イニングで僅か2自責点。この5試合全600球の力投があっての、34年振りのベスト4進出、そして同校初の決勝進出でもあった。
さらには、レギュラー組が次々と胃腸炎に襲われるなど、満身創痍の中での興南戦。それでも笑顔を絶やさず、最後の最後まで食い下がった姿は、多くの観衆の心を魅了したことだろう。
(文=當山 雅通)