高松南vs三本松
好左腕擁する三本松を崩した「カットボール」
高松南エースの後藤 聡太
この試合、[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]のネット裏には数球団のNPBスカウトが訪れた。お目当ては三本松のエース左腕・三好 大倫(3年・左投左打・176センチ76キロ・東かがわ市立白鳥中出身)。今大会では2・3回戦を連続完封し、2回戦の高松桜井戦、[stadium]四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀[/stadium]で「144キロ」をたたき出した注目選手である。
が、試合が始まるとグラウンド上を躍動し続けたのは高松南の側。初回は三本松の守備の乱れに乗じ3得点。さらに三好のクイックが緩慢と見るや7番・田川 智也(3年・遊撃手・右投右打・166センチ67キロ・高松市立協和中出身)が3盗塁、うち2つは3回・8回の得点につなげている。
そしてこの試合の主役は高松南のエース・後藤 聡太(3年・右投右打・169センチ61キロ・高松市立香川第一中出身)に他ならない。ストレートこそ最速133キロ・この日は130キロだが、内角低めを大胆に突く配球に加え、「秋を過ぎてから変化するようになった」カットボールの切れ味も抜群。
岡田 紀明監督の体調不調により急遽指揮を執ることになった日下 広太副部長いわく「インコースを消して、真ん中・外角を何とか打とうとしてきた」三本松の対策を逆手に取った内角攻めは、124球12奪三振6安打1与四死球での完封勝利、高松南の30年ぶり3度目となる決勝戦進出で成就した。
最後に三好についても触れておきたい。上のレベルを狙うのであらばクイック・けん制の鍛錬は不可欠。この試合・最速138キロのストレート以外に前半は頼れるボールがなかったことも課題である。高校通算17本塁打の長打力を全く発揮できなかった打撃面も含め、彼には2年連続春季県大会優勝・四国大会出場を逃したショックをプラスに変える奮起を期待したい。
(文=寺下 友徳)