試合レポート

二松学舎大附vs柏日体

2015.03.14

11年ぶりのセンバツ甲子園へ、二松学舎万全の思いでいざ!

安定感抜群の投球を披露した二松学舎大附・大江竜聖君

 今春、11年ぶりにセンバツ出場を果たした二松学舎大附
とはいえ、昨夏にも悲願の出場を果たしており、チームとしては連続出場となる。しかも、大江竜聖君、今村大輝君のバッテリーに、リードオフマンとしてチームを引っ張る三口英斗君ら、夏の経験者も多い。それだけに、浮足立つことなく、地に足をつけた形で甲子園へ向かうことが出来そうだ。前日には、大会の組み合わせも決まり、モチベーションもさらに上がっている。

 その二松学舎大附の、甲子園出発前の最後の実戦調整である。いわば、壮行試合と言っていいものである。グラウンドのある千葉県柏市の強豪柏日体を招いてのものとなった。

 二松学舎大附は注目の左腕大江君が先発。予定通りの3イニングを朏 仁矢(みかづき)君に許した左前打一本のみに抑えた。大会へ向けて、まずは順調な調整といっただろう。投球の安定感は抜群で、見ていても安心感がある。投球そのものに関しても、昨年夏の段階よりは、さらに幅が出てきている。このあたりは、マウンド経験によって自分の中でも自然に身についていったものではないだろうか。

 市原勝人監督は、「少し球のスピードが出てきたことで、力で抑えようとしに行くところがあったのですが、自分の持ち味はスピードではないということを理解して、投球の組み立てがよくなりました」と、気持ちの部分での成長を評価していた。

 二松学舎大附はさらに、右サイド気味の向山 雅夫君が2イニングを投げて、5番田中君の二塁打一本のみに抑えた。そして、何より市原監督が喜んでいたのは、岸田 康太君がいいリズムで投げられたことだ。
「まだまだ、もっとスライダーのキレもよくなっていくと思いますよ」と、望むところも高いが、いいリズムで自分のテンポで投げていた。岸田君のこの日の投球は制球がよくて、ポンポンとストライクで追い込んでいっていた。9回には先頭の1番津田君に二塁打されたものの、その後をしっかりと抑えて、ピンチにも慌てない落ち着きを見せていた。

 こうして、3人の投手の継投でピシャリと完封して、二松学舎大附としてはいいムードとなった。

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

中日の佐藤充スカウトも注目する朏 仁矢君(柏日体)

 午後からの試合も、梶井 一貴君が5イニングを投げたが、4回に真覚(まさめ)君の二塁打で逆転されたものの、5回に打者11人で5安打、二死急に失策も絡んで6点を奪いビッグイニングを作った。6回には橋本 雅弥君が右翼へ本塁打も放ち、振れているところをアピールしていた。

 センバツを意識しながらも、帰ってきたらすぐに春季東京都大会が控えているということもあって、市原監督としても、より多くの投手を準備しておかなくてはいけないという意識もあった。だから、平山君、松島君と春季大会で使いたい投手陣もこの試合で起用していっていた。

 高校野球は、限られた時間の中でやっていかなくてはならないことが多い。こうして、実績を上げていけばいくだけ、さらに当面の試合だけではないということも増えていくのだなぁということも、改めて感じさせられた。4月になれば、新入生も来て、スタッフとしてもさらにやるべき仕事も増えていく。そうした中で、夏を目指していくのが高校野球なのである。
なお、二松学舎大附センバツは、大会第5日松山東と対戦することになっている。

 春季大会を目指してのチーム作りということで柏日体の金原健博監督は、「去年の夏のチームは、3年生が16人(ベンチメンバーに)入っていましたからね、今度のチームは経験がないんですよ。それを積ませていきながら、作っていかんといけないんですよ」と、言うのが現状のようだ。だから、これから春休みにかけては関西遠征なども組んでいきながら、チームを作っていくという方向性である。

「ウチは今は弱いですけれども、これから、伸びていきますから…」と、金原監督は選手たちへのノビシロを期待しながら、チーム作りへの手ごたえは感じているようだった。

 エースとして予定している朏君については、この日も中日の佐藤充スカウトが見に来ていたのだが、「まだ、投げ込んでいない感じですけど、これから、もっとスピードも出てくるのではないでしょうか」と評価も高い。左腕の久住君とこの二人が投手の軸となっていきそうだ。
また、現在通算16本塁打というエドポロ ジョセフ君も、この日は2試合で4番に座り8打数1安打だったが、「(身長193cmという体格に合わせて)ちょっと、フォーム改造中」(金原監督)ということだ。最後にいい感じで左前打が出たことで、きっかけになりそうだ。こうした一つひとつの足し算もまた、チーム作りという点では欠かせないことでもあろう。

(文=手束 仁)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ優勝の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?