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2015年の高校野球を占う【茨城編・前編】常総学院の優勝で幕を閉じた秋季大会総括

2015.02.21

 2年ぶりの甲子園出場を決めた常総学院。4年連続で秋季関東大会出場しており、やはり茨城の横綱という立ち位置であることは変わりない。まず関東大会出場をかけた準決勝と関東大会出場を決めた2校を振り返っていきたい。

関東大会に出場した常総学院、明秀日立、土浦湖北、石岡一の4強を追う

鈴木 昭汰(常総学院)

 秋季茨城県大会は、第1シード・常総学院が5対3で明秀学園日立を降して2年ぶり7度目の優勝を飾った。優勝回数の7回は、土浦日大と並んで最多タイとなった。準決勝土浦湖北戦と準々決勝藤代戦はどちらも1点差の接戦となった。ミスが出るなかで苦しみながら勝ち上がっており、圧倒的な強さは感じられなかったが、終盤に粘りと集中力を結集して試合をひっくり返した。

 また、代打策も見事に的中した。その後の関東大会では、佐野日大(栃木2位・試合レポート)と平塚学園(神奈川1位・試合レポート)に勝利して関東4強入りを果たし、2年ぶりとなるセンバツ出場権を獲得した。

 準優勝の第3シード・明秀学園日立は8年ぶり2度目の頂点に王手をかけたが、常総学院の終盤の猛追の前に屈した。関東大会をかけた準決勝石岡一戦では、新チームから取り組んできた積極的な走塁が威力を発揮した。延長10回と12回に1点を勝ち越されるも、足を絡めた驚異的な粘りで同点に追い付き、最後は延長13回にホームスチールで関東大会出場権をもぎ取った。

 その後の関東大会では、茨城県大会前の練習試合で大敗した健大高崎(群馬1位)と激突(試合レポート)。3つの牽制死に仕留めるなど、機動破壊を封じ込めることに成功したが、僅差で敗れた。

 関東大会出場権をかけた準決勝は、2試合とも1点差の大接戦となった。土浦湖北は2対0とリードして迎えた8回裏、2番手の関口海渡常総学院石井大貴から逆転タイムリー三塁打を浴びて2対3と敗退。2年連続して準決勝常総学院が立ち塞がった。エース左腕・大関友久常総学院に対し6.2/3回を散発4安打、自責点0で切り抜けており、常総学院打線を寄せ付けなかったことは春以降の好材料だ。

 石岡一準々決勝で第2シード・霞ヶ浦に勝利して創部以来初の4強入り。県大会準々決勝までの3試合全てを逆転で勝ち上がり、公立校らしからぬ破壊力のある打線が印象深かった。準決勝・明秀学園日立戦はエース左腕・木村 怜央が好投も、明秀学園日立が足で揺さぶりをかけ、延長13回の死闘の末にホームスチールで幕切れとなった。石岡一はその後、投打にバランスがとれた好チームであることが高く評価され、21世紀枠県推薦校に選出された。

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【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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[page_break:大会序盤~準々決勝を振り返る]

大会序盤~準々決勝を振り返る

安高 颯希(霞ヶ浦)

 第2シード・霞ヶ浦石岡一に敗れたことで、平成24年秋から始まった連続決勝進出がここで途絶えた。打線は昨夏1年生ながら牽引した根本 薫を欠き上位陣がノーヒット。投手陣も精彩を欠いた。

 昨夏の茨城を制した藤代準々決勝常総学院と対戦。常総学院エース・鈴木 昭汰を攻め立て、最終回に1点をもぎ取ったが1対2で敗れた。安打数は相手を上回る9本。8回までに三塁に3度走者を進めたが、あと1本が出なかった。

 水城土浦湖北に敗れ(試合レポート)、昨秋のリベンジはならなかった。序盤、中盤、終盤に1点ずつ返して1点差まで迫ったが、初回の3失点が最後まで重くのしかかった。2戦連続の逆転勝ちで創部以来初の8強入りと勢いに乗る江戸崎総合だったが、明秀学園日立の強力打線の前に5回コールドで姿を消した。

 2回戦を振り返ると、1年生エース・海野 貴嗣を中心に投打にバランスの良い水戸葵陵は、常総学院を苦しめるかと思われたが、常総学院石井 大貴に満塁ホームランを浴びるなど7回コールドで敗退した。水戸商は1点リードして迎えた9回に2点を失い石岡一にサヨナラ負けを喫する。鉾田一は1回戦に続き小堀 誠太郎羽生 直樹の1年生投手の継投で藤代を3点に抑えるも、藤代エース・山崎 誠の前に1点しか奪えずに終わった。

 1回戦では、日立一は1年生エース・鈴木 彩斗が1失点完投も、打線の援護なく鉾田一に0対1で敗退。水戸地区大会水戸工に勝利した玉造工は、勢いをそのままに水海道一の猛追を振り切り県大会初勝利を飾った。

 私立校同士の注目カード、土浦日大vsつくば秀英は、延長10回、土浦日大がサヨナラ勝ちを収める。守谷は延長10回、立木のタイムリーで2対1と鹿島をサヨナラで降した。

 県北勢はシードの明秀学園日立以外の6校全てが1回戦で敗退。県西勢は守谷を除く他の6校が初戦で姿を消した。

 ここまで秋季大会を振り返ってきた。次回は各地区の注目選手と春の展望を述べていきたい。

(文:伊達 康)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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