Column

ランニングと音楽について考える

2014.11.30

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 日ごとに寒さが増すこの頃ですが、皆さん風邪などひかず元気に過ごしていますか?インフルエンザも流行る兆しを見せているとのことですので、体調には十分気をつけて日々の練習に励んでもらいたいと思います。

 さて冬場になるとスタミナ強化を目的としたランニングを取り入れるところも多いと思います。また自主練習などで携帯音楽プレーヤーを使用して、好みの音楽を聴きながら走るといったこともあると思います。今回はランニングと音楽を聴くことについての効果と注意点などについて、お話をしたいと思います。

音楽は気分をあげる効果あり

音楽はランニングの疲労感を軽減するかも?

 音楽をかけながらランニングをすると、適度に気が紛れて疲労感を感じにくくする効果があると言われています。好みの音楽を聴きながら走っていると気持ちも高揚し、自然と足も動くことでしょう。メンタル面においても音楽をかけたときと、音楽をかけなかったときとでは気分の盛り上がり方が変わってくるそうです。

 ランニング時に音楽を利用する場合はアップテンポの曲を選択することが大切です。スローバラードの曲では何となくしんみりしてしまうので、ランニングには向きません。また日本語の曲は歌詞に意識がいってしまい、ランニングそのものへの集中力が低下してしまうため、洋楽をオススメします。ウォームアップ時などにアップテンポな洋楽をかけると、テンポに合わせて体もリズミカルに動き、気分よく汗をかくことが出来そうです。

ランニングは自分自身との対話の時間

 一方ランニングは自分自身と向き合い、身体と対話する時間だと思えば、音楽をかけることによるデメリットも考えられます。ランニングのリズムと音楽のリズムが合わないためにランニングフォームが崩れてしまったり、ランニングそのものへの集中力が欠け、ただ何となく惰性で走ってしまったりということにもなりかねません。

 たくさん走ることが目的ではなく、競技に活かすためのランニングを行いたいわけですから、ランニングの種類を問わず、走ることそのものへの意識を高く持つ必要があると思います。ランニングフォームや身体のバランス、接地したときの足音、リズム感などはランニングに集中しないと得られない貴重な情報です。また走っているときに感じる微妙な身体の変化、疲労感などを見逃してしまうことも考えられます。またイヤホンやヘッドホンを使用して走っていると、周囲の音が聞こえずに思わぬ事故にあう可能性も高まります。

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[page_break:ヘッドホン難聴が増えている / 音楽と上手につきあうために]

ヘッドホン難聴が増えている

 普段からイヤホンやヘッドホンを使用して音楽を聴いている人の中には、ヘッドホン難聴と呼ばれる症状になる人が増えています。耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分から成り立っていますが、内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分が聴覚を司っています。耳が大音量に長時間さらされていると、この蝸牛の感覚細胞が傷つき、騒音性難聴へと進行してしまいます。ヘッドホン難聴はこの騒音性難聴の一つです。このような音楽の聴き方をしていないか、一度確認してみましょう。

1)大音量で音楽を聴く
 100デシベルの音を15分以上聴くと難聴になりやすいといわれています。100デシベルは列車が通過するときの高架下の音に相当します。静かなところで音楽を聴くときはここまで音量を上げることは少ないですが、周囲が騒がしい状況(たとえば交通量の多い道路沿いや、通学時の電車の中など)で音楽を聴こうとすると、知らず知らずのうちに大音量になっているかもしれません。

2)長時間にわたって聴く
 適切な音量で音楽を聴いていても、長時間にわたって聴覚を刺激し続けると、耳にはかなりのダメージが残ります。CD1枚分くらいを目安に、耳を休ませるようにしましょう。

3)周波数が高い音を聴く
 周波数の高い音ほど、耳に与えるダメージが大きくなります。スピーカーから音楽を聴くときは、高い音の周波数は空気中を伝播する間に弱まりますが、イヤホンやヘッドホンではあまり弱まることなく耳に伝わるので注意が必要です。

音楽と上手につきあうために

イヤホンを使用するときはなるべく静かなところを選ぼう

 ランニングを行うときに、時には音楽を聴きながら気分を盛り上げることもいいでしょう。ただし耳への負担を考えて、「ヘッドホンを装着していても人の声が聞こえる程度の適切な音量で」「疲れているときは、とくに音量に注意して」「ヘッドホンで音楽を聴いたら、聴いた時間の3倍は耳を休ませる」ことを心がけましょう。

 また耳鳴りや耳が詰まったように感じる場合はすぐにイヤホンやヘッドホンの使用を中止して様子をみるようにします。また交通量の多い場所ではイヤホンやヘッドホンの使用を避け、公園や河川敷など比較的静かな場所で使用するようにしましょう。楽しい気分を盛り上げるための音楽が、パフォーマンスアップにつながるように、ぜひ役立ててくださいね。

【ランニングと音楽について考える】
●音楽には適度に気が紛れて疲労感を感じにくくする効果がある
●歌詞に意識がいかないよう、洋楽でアップテンポの曲がオススメ
●ランニングは自分自身との対話の時間。音楽がそれを妨げることもある
●イヤホンやヘッドホンを長時間使用しているとヘッドホン難聴になることがある
●適切な音量、使用時間に注意し、使用後は耳を休ませる時間を設けること

(文=西村 典子

次回コラム公開は12月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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