嘉手納vs沖縄尚学
2イニングで9本のヒットを集めた嘉手納!一気呵成の逆転で沖縄尚学を振り切り優勝
3回にソロアーチを放った沖縄尚学・仲西莉音
第41回新人中央大会決勝戦(試合レポート)。仲地玖礼ら嘉手納ナインの胸には決するものがあったはずだった。
「主力選手が甲子園へ行っている目の前の尚学に勝てなかったなら、いつ倒す?」
だが結果は5対4と、惜しくも敗れてしまった。
それから3ヶ月半が過ぎたこの日の決勝戦。二年生たちと対戦したあの日と違い、同級生同士との対戦とあっては尚更負けるわけには行かなかった。
だがその思いが、先発のマウンドを任された仲地には少しだけ、気負いになっていたのかも知れない。
2回表、大兼久亮平と宮國龍之介の連続ヒットでチャンスを作ると諸見里俊が逆らわずレフトへ流して先制した沖縄尚学は3回、1番仲西莉音が振り抜いた打球はレフトの頭上を襲う。綺麗な放物線を描いた打球はスタンドインのソロアーチとなって2点目が入った。
対する嘉手納は3回裏、9番古謝巧真が、センター左寄りへの大きな当たりを放ちセカンドへ到達するが、中継プレーにミスが出るのを見て三塁を陥れた。次打者の遊ゴロでホームへ駆け込み1点を奪ったあと、二塁へ進めると仲地がライト前へ運び同点とした。
この試合4安打を放った嘉手納・幸地諒承
さらに嘉手納は4回、知花拓哉の二塁打と古謝のバントヒットで無死二・三塁と絶好のチャンスを得る。
だがここは、沖縄尚学野手陣が踏ん張り三振でワンアウトを取ると、続く仲井真光亮のレフト前への当たりを知念大河が本塁へ送球して刺殺した。
3番比嘉優真の当たりもショートへのゴロ。だが、ボテボテだったのが幸いしたのか、捕球したショートが一塁へ悪送球してしまい1点を奪うと、仲地がセンター前へ弾き返して二者が生還。さらに代打で登場した比嘉大介player]がセンターの頭上を襲うタイムリー二塁打が飛び出して諸見里をKO。このイニングだけで大量5点をボードに刻んだ。
このリードで少なからず余裕が生まれた仲地は、走者を出すも要所を締めて8回まで2失点。9回こそ、[player]高良諒と仲西の連続ヒットから比嘉優真のタイムリーで沖縄尚学が意地の1点を返すがここまで。最後はセカンドゴロに斬って143球の完投で、29年振り2度目の優勝を手に入れた。
準優勝に終わった沖縄尚学だが、中央大会4試合全てで二桁安打をマークするなど、末恐ろしいパワーを周囲の記憶に刻み込んだ。
嘉手納と沖縄尚学は、これで新人中央大会と合わせて1勝1敗。来年の春季県大会での両雄の成長ぶりが楽しみな、2014年の公式戦ファイナルゲームであった。
(文=當山 雅通)