試合レポート

二松学舎大附vs都立雪谷

2014.10.26

まさかの序盤に大量点で決着、二松学舎がコールドで雪谷粉砕

 因縁の対決と言ってもいいものかもしれない。
もう10年以上前のことになってしまったが、2003(平成15)年夏の東東京大会、ともに初出場を掛けて決勝でぶつかった。都立雪谷は初の決勝進出だったが、二松学舎大附はこの時がすでに7回目の決勝だった。
この夏こそ、絶好のチャンスと言われていたのだが、0対0の試合は都立雪谷が9回に一挙5点を奪うという展開になり初出場を果たした。

 以降も、この両校は何度か公式戦で対戦しているが、その時以外は二松学舎大附が勝利している。
二松学舎大附の市原勝人監督も、都立雪谷の相原健志監督もお互いに、そういった因縁もやはりどこかで意識しているであろう。

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尻上がりに調子を上げていったエース大江 竜聖君(二松学舎大附)

 そして迎えたこの日の準々決勝だ。
この夏悲願の夏の甲子園初出場を果たした二松学舎大附。その分、新チームの始動が遅くなったという事実は否めない。

 市原監督も、そのことは十分に納得しており、「秋は、いつも大会を通じてチームを作っていくという感じなんですけれども、今年は特にそうなりますね」と言っていたが、一次予選を勝ち上がり、都大会となって都立日野試合レポート)、都立総合工科試合レポート)と都立の曲者を撃破し、好投手のいる早大学院試合レポート)とは延長15回を戦いながら、勝ち上がってきた。
そして、一つひとつチームとしてのまとまりもよくなってきているようだ。

 先週、延長15回を完投した二松学舎大附のエースの大江 竜聖君は、その後はほとんどノースロー状態で調整してきたという。それだけに、この試合では肩は軽くなっていたのだが、身体のキレがもう一つで、立ち上がりは苦しんだ。四球、安打、バントで簡単に一死二三塁を作らせてしまった。しかし、そこから踏ん張って後続を抑えた。


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初回に流れをつかむ中前打を放った三口 英斗君(二松学舎大附)

 そして、その裏の二松学舎大附はいきなり三口 英斗君が初球を中前打し、捕逸で二塁へ進むと、バント野選で無死一三塁。ここまでわずか3球だった。都立雪谷の森本君としては、落ち着かないうちの大ピンチである。そして、北本 一樹君が三塁強襲安打して先制。さらに橋本君に2球ボールとなったところで、相原監督は早々と森本君を諦めて、安定感ではもっとも信頼が高いという三塁を守っていた菅家優之介君をマウンドに送った。

 しかし、あまりにも早い継投で、死球と犠飛、さらに鈴木 堅介君のタイムリーに失策もあって、この回4点が入った。
2回にも二松学舎大附は、北本君が安打で出ると盗塁と捕逸に四球で二死走者なしから一三塁とすると、ここで岡田 浩輝君が左翼へ3ランを放って序盤で大量リードを奪った。

 このリードもあって、大江君も徐々に本来の自分の投球を取り戻していった。3、4回は3人ずつで抑えて身体のキレも戻ってきたという感じだった。

 そして、二松学舎大附は5回にも6番今村 大輝君の犠飛で1点、6回には大江君自身の二塁打と三口君の会心の右線二塁打に、北本君の投手強襲の内野安打で10点目を奪いそのままコールドゲームとした。

 戦前の予想では、ある程度の競り合いが予想されていただけに、結果的にはまさかの大差の試合となってしまった。
市原監督も、「初回のピンチを何とか逃れて、その裏、いきなり三口が打ったのが大きかったですね。これで、一気にいける感じになりました」と言うように、初回の攻防がすべてといってもいい試合だった。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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