Interview

横浜DeNAベイスターズ 梶谷 隆幸選手(開星高校出身) 【前編】

2014.10.17

 06年夏の甲子園に、島根県代表で出場した開星高校。そのときの主軸として活躍したのが梶谷 隆幸選手です。高校時代は、通算93盗塁を記録。俊足だけでなく、高い打力も買われて、翌年、横浜ベイスターズ(当時)に入団。プロ7年目の今シーズンは、なんと“盗塁王”に輝く結果を残しました。

 今回は、そんな梶谷選手に、昨シーズンの変化や自身のこだわりなどをテーマにお話を伺いました。

盗塁王に輝いた2014年シーズン

梶谷 隆幸選手(横浜DeNAベイスターズ)

――まずは2014年、盗塁王獲得、おめでとうございます!

梶谷 ありがとうございます。とても、嬉しかったですね。規定打席に達した年に、はじめてのタイトルを獲れるとは思っていなかったので。シーズン前は、『獲りたいな』くらいの気持ちでしたが、途中から現実味が出てきて、『これはいくしかない』という感じでやってきたんですけど、率直に嬉しかったですね。
ただ、39盗塁で終わってしまったので、やっぱり50盗塁はしたかったなという思いはありますね。

――高校の頃から、ここまでの活躍は想像されていたのでしょうか?

梶谷 まさかでしたね、正直。まさか自分が1軍の試合に出て、あれだけの観客の方々の中で野球をしていることも最初は信じがたかったので。それくらい可能性がないと思っていました。
ましてや、野球がそんなに盛んな地域ではないとこから出てきた僕が(笑)。だから、もし今そんなふうに思っている高校生の皆さんにも、チャンスはいくらでもあると思います。

――そんな中で、年々、成績を上げられてきた梶谷選手。昨年は、打率は3割4分6厘をマークしましたが、盗塁は7つ。また、盗塁成功率は、63%でした。しかし、今シーズンは、39盗塁をマークし、さらに成功率も83%と飛躍的にアップしました。その要因はなんだと思われますか?

梶谷 昨シーズンと比べて変化したことは、盗塁に関しては、リード幅を狭(せば)めました。リード幅が狭いと、安心感もあって、行くことのほうに重点が置けるので。

 というのも、昨シーズンは、リードが広い分、帰塁を意識してしまって、スタートが切りにくかったんです。
それで、ちょっとこれ狭めてみようかなと思って、オープン戦で色々試してみたら、今のこの狭いリード幅がよくて、意識をスタートのほうに全部持っていけるなと気付きました。

【10月特集】スピードを生かす技術

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[page_break:盗塁成功率を高めるために“観察”を大事にする]

盗塁成功率を高めるために“観察”を大事にする

梶谷 隆幸選手(横浜DeNAベイスターズ)

――昨シーズンからの振り返りを生かして、自身で考えられた結果だったのですね。

梶谷 色々と走ってみて、一昨年も去年も失敗をしてきて、それで気付く部分があったり、こうやったほうが確率が上がるなとか。
失敗することで、こっちのほうがいいかなとか気付いたことをどんどんやっていけばいいと思います。僕はそれで、リード幅を狭めようと考えることが出来たので。

 ただ、人によって、リードを大きく取る人と狭く取る人がいて、どういう考え方をしているかでそれは変わってくるので、先にリードを取ってしまいたいのか、安心してスタートしたいのかという気持ちの問題ですね。

――なるほど。他にも昨シーズンから盗塁に関して、変えた部分はありましたか?

梶谷 あとは、打者のためにも早いカウントで走りたい気持ちがあるので、そのために、ゲーム前にそのピッチャーがどういうクイックをするのかを知っておかないといけないですよね。

それで、今年はグラウンドでの練習を早めに切り上げて、その分、相手投手の映像を見る時間に当てたりなどの工夫はしました。

 高校生の場合は、当日、相手投手のクセを見るしかないので、投球練習の最後にするクイック投法を絶対見逃さないようにするといいと思います。頭に1回入れば、どうやってスタートを切ろうかというイメージができるので。

 僕自身も、”観察”はとても大事にしています。ぼんやりとピッチャーを見ることで、どこからピッチャーのグラブが出ているのか、足、肩、どこから投球動作が始動しているのかなど分かっているだけでスタートが切りやすくなりますから。

――観察ですか。梶谷選手は自分自身のレベルを高めていくために、他の選手のプレーも参考にされたりはするのでしょうか?

梶谷 しますね。学生の頃から、プロ野球選手など色々な人の連続写真をみながら素振りをしたりしていました。あとは、映像で見たり。
『真似してみる』というのが好きだったので。走塁でいえば、他球団の選手の盗塁技術を動画で見たりして、その選手がリードの広いタイプの選手であっても、いろんな考え方を見て学んで、『じゃあ、自分はどうしようかな』と考えていくことは多いですね。

【10月特集】スピードを生かす技術

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[page_break:走塁プレーを支えるスパイクへのこだわり]

走塁プレーを支えるスパイクへのこだわり

梶谷 隆幸選手(横浜DeNAベイスターズ)

――やはり、観察や研究というのは、さらに上を目指す上では、とても大事なのですね。また、最近では、スパイクなども、走塁に特化した製品も出てきています。梶谷選手は用具にも、こだわりを持って選んでいたりするのでしょうか?

梶谷 スパイクへのこだわりは、プロに入ってから持つようになりました。とくに、今は走塁重視で選んでいますね。今シーズンはミズノさんのスパイクを履いているんですけど、シーズンの途中からは、スパイクの歯を長くして、(足幅を)タイトな感じにしてもらいました。そうすることで、フィット感があって、履きやすいんです。
フィット感がでると、足全体がキュッと引き締まることで靴の中でのブレもなく、走りやすいですね。今のスパイクは、本当にしっくりきています。

 また、歯を長くした分、(地面を)食う感じがあるので、これはハマったなと。走りやすくて、すごく良かったですね。
あとは、軽すぎるスパイクだと走っている感じがしなくて、若干の重さを感じて走りたいので、僕の場合は、軽すぎず、ちょうどいい重さを選ぶようにしています。

 用具にも細かくこだわって、また毎年の反省を活かしながらレベルアップして、掴んだ盗塁王だったのですね。
後編では、梶谷選手に実際の盗塁時の「スタート」「加速」「スライディング」の3ポイントでのこだわりもお伺いしていきます!

【梶谷 隆幸選手の2013年インタビューはこちら!】

【10月特集】スピードを生かす技術

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