試合レポート

木更津総合vs川越東

2014.10.27

満を持して登場の開催地1位の木更津総合が4強進出

木更津総合vs川越東 | 高校野球ドットコム

先発した早川 隆久君は投手歴2か月足らず(木更津総合)

 千葉県大会で優勝を果たし、地元開催の秋季関東地区大会で与えられる唯一のシード権を獲得した木更津総合。満を持しての登場という感じだったが、初戦(試合レポート)を完封勝ちしてきた川越東を迎え撃った。
もっとも五島卓道監督は、「県大会が終わってからここまで、3週間だったんですけれども、格別長く感じましたね」と、地元開催の1位校としてのプレッシャーも感じていたようだ。

 そんな木更津総合だったが、初回の川越東を先発左腕早川 隆久君が危なげなく3者凡退で抑えるとその裏、先頭の木戸君が死球で出塁。バントなどで二死二塁となった後、最も信頼できるといわれている4番檜村 篤史君が右前打して先制。さらに、小池君も右前打し、これを後逸する間に檜村君も還って、この回2点が入った。

 4回にも木更津総合は、二死二塁から7番佐々木君の左中間三塁打で追加点を挙げた。こうして、試合の主導権は木更津総合が握った。

 木更津総合の先発は背番号10の1年生左腕早川君だ。鈴木健矢君という1番をつけたエースもいるのだが、川越東が1番から5番までズラリと左打者を並べ、都合7人の左打者がいるということもあって、五島監督は早川君を送り出した。早川君は、正式に投手として投げ出したのは、この夏休みの練習からなので、実はまだ投手歴としては2か月足らずである。


木更津総合vs川越東 | 高校野球ドットコム

マウンドに集まる川越東ナイン

 たまたま夏の大会前の練習で、左投手対策としてフリー打撃の投手として投げていたのを見た五島監督が、いい球を投げるので投手にしてみたら面白いだろうと思ったというのが切っ掛けだった。だから、キャリアが浅い分、これから先の伸びしろも大きく、成長度も大きい。五島監督も、「投げるたびに成長が感じられる」と、目を細めている。

 その期待に応えて、この日も終わってみたら5安打完封で、4番の吉澤君から4つ奪ったのを含めて10三振奪取という文句のないものだった。
どうかすると、バタバタとしてしまいそうな時もあったが、そこは捕手の大澤君がいいタイミングで歩み寄って声を掛けていた。

 木更津総合は開催地1位校の責任を果たしたというか、ベスト4進出を決めた。決して打力があるというものではないが、選手個々の質は高く、堅実なプレーが光るチームである。
木更津総合は、99年に五島監督が就任して以来、夏は一昨年含めて4度の甲子園出場実績があるが、センバツはなかなか縁がなく、木更津中央時代の1971(昭和46)年以来ない。それだけに、来春のセンバツを大きく手繰り寄せたこの日の勝利は、学校としても大きいものである。

 秋季関東地区大会初出場の川越東は、初戦で甲府商に完封勝ち(試合レポート)。その勢いで向ったこの試合だったが、あと一つ及ばなかった。それでも、新たな伝統を築いたことだけは確かである。
もっとも、渡辺努監督は、「今は負けた悔しさしかありませんけれども、あとになって、この戦いは新たに積み重ねていくためには、大きかったということは感じるかもしれませんね。こうして伝統を積み重ねていくことも、大事なのかもしれません」と、語っていた。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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