試合レポート

東海大菅生vs八王子実践

2014.10.19

東海大菅生・勝俣翔貴の投打の可能性に迫る

東海大菅生vs八王子実践 | 高校野球ドットコム

力投を見せる勝俣翔貴(東海大菅生)

 ついに来年のドラフト候補に挙がるであろう東海大菅生勝俣 翔貴(2年)の投打の可能性に迫る機会が訪れた。
投げては最速142キロ、打者としてはパンチ力ある打撃で圧倒する。勝俣は箱根中出身で、有名になれば、箱根が生んだ逸材と呼ばれそうだ。

 まず投手・勝俣に迫っていきたい。ステップ幅が狭いのだが、重心を沈めて、左腕のグラブを高く掲げてから真上から振り下ろす本格派のようなフォーム。速球は常時135キロ~138キロを計測。何度も本日最速の138キロを計測しており、馬力は今年の東京都の右腕ではナンバーワンだろう。

 またストレートだけではなく、変化球のキレも良い。曲がりの大きいスライダー、カーブを外中心に集める投球。初回は2奪三振を奪う立ち上がり。さらに3回は3奪三振、4回には2奪三振、5回には1奪三振と5回までに8奪三振を奪う快投を見せる。

 この時期で、コンスタントに130キロ後半を計測し、さらに変化球も切れる投手を打ち崩すのは非常に難しい。直球中心かと思えば、いきなりスライダー、カーブを交える投球で、うまく八王子実践打線の的を絞らせない投球が出来ていた。

 打線は2回に敵失が絡み2点を先制し、5回裏にはマスクをかぶる齋藤駿汰(2年)の適時打で3点の援護をもらうが、6回表、安打2本、四球1つと二死満塁のピンチを招いてしまう。ここまでストレート、変化球ともにコントロール出来ていた勝俣だが、5番中坪佑樹(2年)、6番堀川に連続四球を与えてしまい、2点を献上してしまう。この時、勝俣は
「抑えようと力んでしまったのが反省点です。もう少し慎重に行けばよかったと思います」と反省した。


東海大菅生vs八王子実践 | 高校野球ドットコム

勝利を決めた東海大菅生ナイン

 追加点を入れたい東海大菅生は6回裏、一死満塁から4番江藤 勇治(2年)の押し出し四球、5番伊藤 壮汰(2年)の2点適時打で6対2と差を広げると、なおも一死一、三塁から6番馬場 大輔(2年)の当たりは敵失を誘い、さらに1点を追加。得点、さらに二死一、二塁から代打・本橋実生(1年)の適時打で計5点を入れる。

 7回以降、勝俣は立ち直りを見せ、ストレートと変化球を織り交ぜながら八王子実践打線を抑え、9回を投げて被安打6、11奪三振の好投で、2失点完投勝利を収めた。

 今日は投手・勝俣が目立った試合といえるだろう。というよりも、打者・勝俣は、力をみせる場面が少なかったというのが正しい。初回に鋭い中前安打を放ったが、第2打席~第4打席は四球。敬遠気味の四球で、勝負をさせてもらえなかった。非常に警戒されている表れだろう。勝俣は「我慢をしなければ」と受け止めている。

 第1打席の安打を見る限り、ライナー性を打つことを得意にしているのでは?と感じた。勝俣に聞くと「自分は長打が求められるように見えますが、外野、内野の間を抜く当たりをこだわっているので、中距離打者だと思います」と自分の打撃スタイルを説明した。

 前回の成蹊戦(試合レポート)は1安打、今日の試合も1安打のみと2試合とも本領発揮とはならなかった。一発よりも、本人も、「チャンスの場面で、勝負強い打撃ができるようにしたい」と語るように、大事なところで結果を残すことが出来れば、自ずと打者・勝俣もクローズアップされるだろう。

 次は帝京だ。若林監督は2009年の秋季大会決勝戦より戦える手応えを感じているようだ。
「あの時は何もかもが出来ていない状態のチームで、あっちは完成されている。結果として、1対13で敗れたのもある意味仕方ないですが、今年は投打ともに戦えるチームになってきていると思います」
と自信を見せていた。今年は勝俣という投打の柱がいて、そして周りを固める選手たちの力量も高い。準々決勝では白熱とした勝負が展開されそうだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?