試合レポート

大森学園vs都立福生

2014.10.11

大森学園、福生の猛追を凌ぎ、初戦突破!

「いやー苦しい試合でした。先発の半田隆人で投げ切るつもりでした」
大森学園の和泉隆監督が振り返るように、今年の大森学園は投手を中心とした守りのチームで勝負。ブロック予選の戦いぶりを見ても、3試合のうち2試合完封勝利。この試合もまた、先制点を取り、試合の主導権を握るつもりだった。

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5打数3安打と活躍を見せた新城憲和(大森学園)

 1回表、大森学園は1番新城 憲和(1年)、2番竹井の連続安打で無死一、二塁のチャンスを作ると、3番佐藤 伸平(2年)の犠打で一死二、三塁に。その後、バッテリーミスで1点を先制する。

 しかし直後の1回裏、都立福生は1番畑中 駿斗(2年)の右中間を破る三塁打で、無死三塁のチャンスを作ると、一死三塁となって、3番渡部 駿斗(2年)の遊ゴロ野選ですぐに同点に追いつく。

 同点においつかれた大森学園は、3回表、二死二塁から4番武井 陸(2年)の中前適時打で2対1と勝ち越しに成功すると、続く4回表、一死二、三塁のチャンスを作り、1番新城が高めの直球を打ち返し、2点適時打を放つ。

 新城は第4打席でも右前安打を放ち、猛打賞の活躍をみせる。新城は背番号18。レギュラーの背番号ではない。起用した理由を和泉監督に伺うと、
「積極性を買っていて、最近は良い当たりを見せているので、起用することを決めました」と話した。監督の期待通り、新城の好調さはこの試合でも維持していた。

 その新城はスピード感溢れるプレースタイルとバットコントロールが良い左の好打者。芯で捉えれば、スタンドインさせるパワーも備わっており、肩は遠投90メートルほどなのだが、質の良い送球を投げる選手で、鋭い球を投げる。ただモーションが大きいので、もう少しコンパクトなフォームで、今のような返球が出来ると尚いいだろう。173センチ60キロと線の細さはまだあるものの、さらに身体を鍛え、パフォーマンスを伸ばすことができるようになると、東京都でも指折りの外野手になる可能性を秘めている。


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追撃の適時打を放つ渡部(都立福生)

 大森学園の攻撃はなおも続き、2番竹井の左前安打で、一死一、三塁となって、3番佐藤の適時打で5対1とした。

 投手力を活かした先行逃げ切り。
点差から見れば、大森学園が試合の主導権を握ったかのように思えたが、先発の半田は都立福生打線に苦しめられていた。

 半田は小柄ながら、キレのある速球、スライダーを投げ分ける完成度の高い左腕。ただこの日は不調だったのか、速球と変化球を高めに浮いたりすることが見られた。都立福生打線はそれを見逃さず、鋭い打球を飛ばしていた。5回裏には3番渡部に適時打を打たれ、5対2。半田は5回まで、被安打8本。都立福生打線は、1番から9番打者までバットを長く持ってフルスイングし、半田にプレッシャーを与えていた。被安打の数からも点数以上に苦しんでいたのがわかる。

 その後、大森学園打線は中々打線がつながらず、逆に都立福生は8回裏、大森学園の2番手の岩本 太一(2年)から8番小山逸斗(2年)が適時打を放ち、5対3と2点差に縮める。

 9回裏、都立福生は二死から満塁のチャンスを作る。だが岩本は最後の打者を抑え、試合終了。ほっとした表情を浮かべ、整列に加わった。

 和泉監督は、「かなり苦しいでした。今日の収穫は打線。予選ではそんなに点を取っていないですし、1試合でこんなに安打を打つことはなかった。あとは守備。要所、要所で、併殺を打ち取ることが出来ていたのは予定通り。守備がウリなチームなので、そこは自信にしています」
打線が当たっていたことと、守備面について評価した。

 次は東京城北と対戦する。次の試合へ向けて、和泉監督は
「やはりロースコアですね。今日のように点が取れるわけではないので、半田や岩本の投球次第ですね」
投手陣の復調を期待した。目指すは創部初の秋ベスト16だ。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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