試合レポート

北越vs新潟県央工

2014.09.21

北越、接戦を制し2大会連続ベスト8進出

北越vs新潟県央工 | 高校野球ドットコム

石橋(新潟県央工業)

 ベスト8を決める県大会1回戦第2試合にベスト4北越が登場。対する相手は、ここまで3試合でわずか失点1のエース・石橋(2年)を擁する新潟県央工業。試合は1点を争う好ゲームとなった。

 初回北越は、新潟県央工業エースの石橋を攻め、2つの四球と犠打、ワイルドピッチで一死二、三塁のチャンスを作る。だが、石橋はこのピンチで北越のクリーンアップを抑え、得点を許さない。

 石橋を援護したい新潟県央工業は二回、北越先発の大塩(2年)を攻め、ヒットと失策で二死一、三塁のチャンスを作ると、8番・高野(2年)がしぶとくライト前に運び、1点を先制。

 続く三回にも、相手エラーと、3本のヒットを集中するが、北越のレフト・佐藤築(2年)の本塁好送球もあり、追加点を奪えない。石橋の力強いストレートに押され気味だった北越は四回、5番・水落(2年)のヒットと石橋のエラー、犠打で一死二、三塁のチャンスを迎える。ここで8番・大塩がスクイズを決め、同点。さらに9番・木戸が初級をライト前に運び、2対1と逆転に成功する。

 北越・大塩はランナーを出しながらも、コーナーを丁寧につく投球で、新潟県央工業打線にあと1本を許さない。一方、石橋は五回以降、高めに伸びるストレートを武器に北越の打線を抑え込む。六回からリリーフした北越2番手・江村(1年)を攻め、六回には二死満塁、七回には一死一、二塁、八回には二死三塁のチャンスを作るが、後続が倒れ、攻めきれない。

 結局、九回もランナーを出しながら北越・江村が抑え、2対1のまま試合終了。再三にわたる好機を逸し、石橋を援護できなかった新潟県央工業に対し、少ないチャンスをものにした北越がベスト8に進出した。


コメント 北越・小島監督

「継投は予定通り。内容をみて四回で代えようかとも思ったんですが、打順の巡り合わせもあって、五回まで投げさせました。江村は四球が多かったですが、大事なところで気持ちの入ったいい球を投げていました。次の新潟高校さんは、諸橋君を中心に今乗っているチーム。準々決勝まで2日間あるので、しっかり練習して臨みたいと思います」

北越・江村伊吹(1年・投手)※六回から四イニングを0点に抑える好投
「最初から準備しておけって言われていたので、いつでもいけるようにしていました。実は第二試合は初めてで、調整が非常に難しく、身体がキレていなかったんですけど、気持ちの準備はできていたので、ピンチでも動じず、腕を振って投げることができました。(左打者へ変化球がだいぶ効いていましたが?)そうですね。変化量は結構大きいと思うので、左打者から空振りをとる自信があります。この後も強い気持ちをもって、県大会、北信越へと勝ち進んで行きたいです」

北越・佐藤築(2年・左翼手)※二回本塁への好返球で先取点を阻止、九回にも好守
「守備はあまり自信がある方ではないのですが、ボールが山なりにならないよう、腕を振って本塁に投げました。(九回の)スライディングキャッチは割と得意な方なので、取れてよかったです。本当はバッティングでもっと貢献しないといけないんですけど…(笑)。(昨年の成績と並ぶベスト8ですが?)3年生は悔しい思いをしてきたと思いますし、僕らも3年生にいろいろなことを教えてもらったので、その恩返しができるように1戦1戦戦って、全国制覇できるように頑張ります」


エキサイティングプレイヤー 木戸拓生(2年・二塁手・北越)

北越vs新潟県央工 | 高校野球ドットコム

木戸拓生(北越)

 対新発田戦、貴重な中押しタイムリーを放った木戸に試合後、話を聞いた(前回試合レポート参照)のだが、その取材の最後、私は彼とこんな会話を交わした。

「次の試合も観に行くよ」
「ありがとうございます。絶対打ちます。また、取り上げてください(笑)」
まさか、そのチャンスがこんなに早く訪れるとは、その時は誰も知るよしがなかった…。

 この試合の序盤、木戸は試合の流れに乗り切れなかった。
二死一塁で迎えた第1打席は、フルカウントまで粘りながら、新潟県央工業・石橋のストレートに差し込まれ、空振り三振。その裏の守備では、二死一塁の場面で、高くはねた難しい打球を後逸。先制点を与えるキッカケを作ってしまった。
ミスから失点してしまった以上、それを取り返そうと、気持ちが焦るもの。

 だが、木戸は冷静に自分のプレーを振り返り、そして分析していた。
「攻める守備を意識して前に出たんですけど、あの場面は後ろで待って処理すべきでした。打球の判断をしっかりして、このようなエラーをなくしていかないと…。気持ちの切り替えはすぐにできました。ベンチに帰った後、(先発の)大塩に、『バッティングで返すから絶対に回してくれ』と声をかけました。」


 汚名返上のチャンスはすぐに訪れる。大塩のスクイズで同点に追いついた後、二死三塁。新発田戦と同じ状況で木戸に打席が回ってきた。

「この大会では、チャンスの場面で自分に回ってくることが多いので、心の準備はできていました。新発田戦と同じ状況だったので、緊張せずに打席に入れました」

 この場面、木戸は第一打席の三振を冷静に分析して打席に入った。
「第一打席に立った時、ベンチから見るより相手投手の球威や変化球のキレがよく見えました。だから、引きつけて(たたく)ポイントを前にもってきて、逆方向へ打ったらどうかと監督に進言しました」

 初球、外角高めに伸びのあるストレートが来た。ポイントを前に右方向へ狙った木戸の打球は一、二塁間を破り逆転のタイムリーヒット。結果的にこのヒットが勝負を決する一打になった。

 失敗にもめげず、冷静に原因を分析し、攻略の糸口を見いだす。木戸はこのあとの打席でも右方向へヒットを放ち、好調ぶりをアピール。だが、勝利余韻に浸ることなく、冷静に次の試合を見据えた。

「次の試合も好投手が相手なので、ロースコアになると思います。チャンスも少ないと思いますが、自分に回って来たら絶対に打ちたいと思います。そして、3年生が秋、春、夏と負けてしまった日本文理に、僕らの代で勝ちたいと思います」
冷静、だが内に秘めた熱い思いを言葉の端々から感じる背番号4が、北越躍進の鍵になりそうだ。

(文=町井敬史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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