【侍ジャパン18U代表】高崎健康福祉大学高崎高等学校 脇本 直人選手
甲子園では素早い走塁と、確かな打撃で高校野球ファンを沸かせた健大高崎の主軸・脇本 直人。試合前から見せる、脇本のずば抜けた「準備力」に迫った。
独り黙々と「準備」を怠らない脇本 直人
脇本 直人(健大高崎)
侍ジャパンの切り込み隊長の名で知られる脇本 直人(健大高崎)。
試合前のノックを終えグラウンド整備に入る球場内で、選手たちは試合が始まるまでのわずかな時間を各々の方法で過ごす。
トスバッティングをする選手、キャッチボールを行う選手、またはバウンドの跳ね方を確認する選手。
これが試合前で唯一、仲間とコミュニケーションをとりながら、リラックスする時間ではないだろうか。
そんな中、目を引く選手がいた。
リラックスの輪の中から少し外れた所で一人黙々とバットを振り、己自身と向き合っていたのが脇本だ。
1本1本のスイングがとても真剣そのもので、目線の先には本当に投手がいるのではないかと思うくらい鋭い眼差しで相手をイメージをしながらスイングに入っている。腰をクネクネさせたり、ステップを変えてみたりと、直ぐに試合に入って行けそうだ。
「準備力」という言葉良く似合う選手だ。
試合が始まり、プレーボールが掛かる直前にもこの準備力が見られた。レフト後方のフェンスに少しトラブルがあり試合開始が少し遅れた。この時間も彼は入念にストレッチを行っていた。立ち居振る舞いがあのニューヨークヤンキースでプレーするイチロー選手のように見えた。
この試合では良い当たりを連発するも、正面に飛びノーヒットで終わってしまったが、調子は良さそう。
彼の特徴はどっしりとした下半身。
そこから生まれる脚力とバットスピードは文句なしだ。バッティングはテイクバックが小さく、強靭な下半身主導のスイングだからこそボールをギリギリまで引きつけてさばくことが出来る。カウントに関係無く軸足を中心とした自分のスイングが出来るのではないだろうか。
バッティングと試合前の素振りについて話を聞いてみた。
「ピッチャーとのタイミングを取るパターンがあり、しっかり軸足(左足)で回るスイングが出来るよう心掛けています」と答えてくれた。
これが試合前に行っていた準備だったのだと納得させられた。
また少し照れくさそうに
「周りに声をかけあうのが得意な方ではないので、一人でゾーンに入る意識でやっています」とも話してくれた。
そして最後に、力強く「明日はチームの為に貢献できるよう暴れます」と笑顔で応えた。
「やるべきことをやっている」という自信が言葉から掴み取れた。明日の試合に向けてどんな準備をして臨むのか。楽しみである。
(文・南乃啓之介)
【試合レポート】18U日本代表vs台湾(2014年9月05日)