試合レポート

早大学院vs都立府中工

2014.07.12

相手失策に乗じた早大学院が、得点重ねてコールド勝ち

 結果的には、失策が大きく明暗を分ける試合になってしまった。

 7回までの安打数でいえば、都立府中工が2本で早大学院は3本と、大差なかったのだが、得点はこの時点で都立府中工の1点に対して早大学院は5点も入っていた。
早大学院の得点にはいずれにも失策が絡んでいたのだった。ここまでで、両チームの失策数は早大学院の0に対して都立府中工は既に6個もあった。その差が、そのままスコアに表れていたのだ。

 早大学院は、エースの新田君がある程度は計算が出来るので、しっかりと守っていかれればという意識だった。
木田茂監督も、「都立府中工さんはある程度力があることはわかっていましたから、初回の1点と、3回の1点は大きかったですね」と、早い段階でリード出来たことが勝因だと分析していた。

 初回の早大学院は、先頭の菊池君が右前打で出ると、バントで二進後、小宮君の内野ゴロをファンブルする間に二塁から生還して先制。さらに3回にも、内野ゴロの送球ミスで出た走者が盗塁し、牽制悪送球で三塁まで進むと、3番小菅君の左犠飛で生還して2点目を挙げた。

 都立府中工の先発平賀君は右サイドからコーナーを突いていくタイプだが、4回までで被安打は1ながら死球は4。それに、失策も相次いでいたということで都立府中工ベンチは5回からは高橋君を送り込んだが、いきなり死球でさらに四球を与えたところで3人目の小林君を投入した。

 本来ならば、小林君を先発予定として弘松 恒夫監督は考えていたというが、ここへ来て平賀君が練習試合などでも結果を出して、調子を上げてきていたので先発に指名したということだった。
だから、小林君としても、準備は十分という意識だったろうが、いきなりバントを処理しようとして転倒。無死満塁としてしまい、4番中村君の右前ポテン安打と、新田君の中犠飛で早大学院はさらに2点を加えた。


 都立府中工としても、6回に代打佐藤博君の二塁打を生かして1点を帰したものの、反撃もそこまでだった。

 逆に、その裏にすぐに早大学院はまたも失策絡みで得点し、8回には外野手にも捕球ミスまで相次いで出てしまって、都立府中工としてはミスの連鎖反応を呼んでしまって、最終的には8個の失策を記録した。

 個々の能力など、チーム力そのものは決して低いワケではない。それだけに、一つ崩れ始めて、それを守勢出来なかったことは、いくらか悔いの残る敗戦になってしまったかもしれない。

 弘松監督も、「ベンチの雰囲気は、いつも通りやれていると思っていたんですけれども…、これだけエラーが出てしまっては…、どうしようもなかったです」と、肩を落としていた。

 そんな中で、6回に登板した伊藤 将也君は、失策で1点は失ったものの、伸びのあるいい回転のストレートを低めに投げ込んでいたし、大きなタテのカーブもあって、将来は大いに楽しみな逸材かなと思わせる投球だった。

 思わぬ大勝となった早大学院は、前半5回まで28三振を奪っていた新田君が、後半は打たせて取るように切り替えていったのだが、6月になってからの練習では投げ込みよりも、走り込むことでスタミナを作っていっていた。
木田監督は、「自分でスタミナがないことをわかって、それで工夫してやってくれていましたから、その成果が出たのだと思います」と、新田君の努力を評価していた。
そして、「次が、最初の山になります」と、早くも次の試合を見据えていた。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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