スピードトレーニングの効果
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野球に必要な走力とは、走塁と守備に特化されますから、その範囲で足を速くしましょう。長距離の走り込みは持久系の筋力をつけます。でも、野球に必要なスピード系の筋肉は全く質が違うので、欲しい筋力はつかない。筋肉は逆に細くなっていきます。じゃあ筋トレをやればいいのか。これも、身体を大きくするという意味ではいいかもしれませんがただやっていればいいというわけではない。打つ、投げる、走るといった動作を訓練しなければ野球は上達しません。走るという動作を訓練しつつ、野球に必要な大きくてパワーの出せる筋肉をつけるためには、スピードアップのための特別なプログラムを確保しないといけない。それが、今回紹介するトレーニングです。
段階的に、スプリント=短距離を走る動きを速くするためのプログラムになっていますので、ぜひ参考にしてください。
段階ごとに違う目的と効果
初級編としてまず最初にしてほしいことは、
・体幹を固定し真っ直ぐしたブレない身体を作っていこう
ここから始めます。重力に負けてお腹を曲げて猫背で走っていたら、手が横に振れてしまいます。そうするとパワーが前にしっかりと伝わらず、推進力を生まなくなります。せっかく筋力を付けて速い動きをしたとしても姿勢が悪ければ重心がブレてスピードロスになりますので、まず真っ直ぐな身体を手に入れましょう。
それが出来たら中級編へ。
・体幹が固定出来たら、下半身を動かしていこう
しっかりとブレない真っ直ぐな身体という土台を手に入れたら、実際に足を動かしましょう。体幹を意識しながら、動作の訓練に移っていきます。下半身を動かす時に体幹がずれないように注意が必要です。
それらが出来るようになったら上級編。
・着地やパワーを溜めるといった、瞬間的な力を出せるようなプログラムを行いましょう。
実際のスプリントに動きを近づけ、つなげていきます。この時も、体幹のバランスに注意。これまでやってきたことを無駄にしないように、確認しながらもダイナミックに動いていきましょう。
このように、しっかりと段階を踏んでひとつづつステップを踏んでください。トレーニングをする順番は大事です。リハビリと一緒ですね。メニューを細かく分けてひとつづつ。
実際にその動作が痛み無くしっかりと出来ていれば、ポンポン進んでしまう。ただ、痛みが出たり動作が出来なかったりしたら、そこで止まる。この流れと同じで良いと思うんです。
例えば、アウフバウのAの動きがキッチリできました。じゃあBをやります。そこでBの動きが出来なかったら、そこでやめる。Cにはいかない。Bの動きがしっかり出来るようになるまで、そこまでの動きを繰り返すんです。一個ずつ確実に。でも、まあ簡単には出来ません。本当に正しい動作で、というのはプロの選手でもあまり出来ませんよ。実際に出来ているか周りに見てもらうことも重要です。
では、正しい動作ができるように一つのメニューを集中して行っているとき、それ以外のメニューをやっちゃいけないのかといったらそんなことは決してない。むしろ、動作はやらないと忘れてしまうので、並行してやっていってほしいですね。メインの動作もやりながら、身に着けてきた他の色々な動作もしっかり加えて、意識を変えていくということが大事です。
このスピードトレーニングをやってもらって、それにプラスして高校野球ドットコムで過去に僕が紹介しているランニングのメニューもやってもらえれば、100点満点です。
トレーニングを行う上での注意点
注意点は、このプログラムに限りませんが、「なぜこのトレーニングをするのか」それを理解してからトレーニングをすること。
たとえば、「可動域を出す」というメニューはしっかり可動を出すこと。大きくダイナミックに、というものを、小さく速く、数を多くやろうとする選手がいる。それでは意味が無い。10回適当になるんだったら、2回でもいいから少ない数で意識してやること。
あと、これは疲れるためのエクササイズではないので、しっかり休憩を入れてください。正しくやろうとすると、かなりキツイと思います。
一動作は、だいたい20回。20回正しい動作が出来るようになったら、数を増やすのではなく負荷をかけること。おもりをつけて15回とかからあらためて始めてください。それでまた20回出来るようになったら、さらに重さを追加する。そうやって徐々に力強く、鍛えていってください。
このような正しい方法を知り、段階的に、確実に動きを身に着けて鍛えていけば、必ず結果は出ます。大事なのは意識を変えて、本気で取り組むこと。まずはやってみましょう。このトレーニングを知ることが出来た、これだけで、知らない選手とまず差はつけられました。あとは身体が答えを出してくれます。がんばりましょう!