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柔軟性を高めるストレッチのポイント

2013.12.30

関節のもつ可動域を最大限活かせるようにする

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

いよいよ2013年最後のコラムとなりました。このコラムがアップされる頃には、しばしの冬休みを迎えている選手も多いことと思います。

冬のトレーニング期では土台作りのためのさまざまな練習が行われていると思いますが、それと同時に取り組んでもらいたいことが柔軟性を高めることです。今回は柔軟性を高めるストレッチのポイントについて、まとめてみたいと思います。

【柔軟性とは?】
柔軟性といえば一般的には「身体が柔らかいこと」の指標としてとらえられます。筋肉そのものが柔らかい=大きく伸び縮みする、というだけではなく、筋肉と骨をつなぐ腱や、関節の周囲にある軟部組織の動きやすさなどさまざまな要素が関係しています。これらの要素をあわせ、それぞれの関節がもつ動きの範囲(=関節可動域)を最大限にすることが柔軟性を高めることにつながります。

【関節のゆるみと柔軟性】
柔軟性と混同しやすいのが、関節のゆるみ(関節弛緩性:かんせつしかんせい)です。身体が柔らかいことはケガ予防やパフォーマンスの向上につながりますが、関節可動域の範囲を大幅に超えるような動きを行う関節については、少し注意が必要です。たとえば腕を伸ばし、肘関節が逆の「く」の字型に大きく反ってしまう場合などは、通常の関節可動域を超えている場合が多く、その状態で重い負荷をかけるとケガをする可能性があります。関節のゆるみが大きい場合は、関節の動きを制御するための筋力やバランス能力をつける必要があるのです。


日頃からストレッチを行う習慣をつけよう

【一人でも出来るストレッチ】
皆さんは普段からウォームアップやクールダウンなどでストレッチを行っていると思います。ストレッチのいいところは、一人でも出来るところ。もちろんパートナーとペアで行うストレッチ方法もありますが、「疲労がたまって柔軟性が落ちてきたな」と感じたら、その場で一人で行うことが出来ます。またこうした柔軟性を高めることについて、他人と比較する必要もありません。柔軟性は人それぞれですので、続けて行うことで「昨日の自分よりも良くなった」と感じることが大切なのです。

【身体を温めることがポイント】
効率よく柔軟性を高めたいと思ったら、ポイントとなるのは「身体を温めること」。温められることで筋肉や関節周辺部の組織がよりよく伸びるようになります。練習後にストレッチをするのは疲労回復をはかると同時に、こうした身体が温まっている状態を活かし、柔軟性を高めることにもつながっているのです。そしてお風呂など身体の外から中に向って温めた後も、ストレッチを行うにはいい状態です。運動などで身体の中から、お風呂などで身体の外から、それぞれ温めた後のストレッチは効果的です。

【使った筋肉を伸ばす】
より効率よく柔軟性を高めたいときに用いる手法に「徒手抵抗ストレッチ」があります。これは徒手(としゅ:手のこと)で負荷抵抗をかけ、その後、抵抗をかけた部位を中心にストレッチをする方法です。専門的な知識がないとむずかしいことも多いですが、皆さんでも出来るストレッチ方法としては、「筋肉を使ってから伸ばす」ことです。たとえば太もも裏の筋肉を伸ばしたい場合、伸ばす前にレッグカールなど太もも裏の筋肉を使い刺激を与え、伸び縮みさせます。その後にストレッチをすると通常よりもより伸びやすくなります。意外と簡単にできますのでぜひチャレンジしてみてください。

ただしストレッチを行うと痛みがある場合は、ムリして伸ばさないようにしましょう。筋線維が傷んだ状態であり、痛いのをガマンしてストレッチを行うと悪化する場合があります。「伸ばされているなぁ」と感じながらも、鋭い痛みがない状態を一つの目安としましょう。

【柔軟性を高めるストレッチのポイント】
●柔軟性は筋肉だけではなく、腱や関節周辺部などさまざまな要素が関係する
●関節のゆるみが大きい場合は、関節の動きを制御するための筋力・バランス能力などが必要となる
●柔軟性は人それぞれ。他人と比較せず、自分の状態を上げることを目標とする
●身体を温めることがポイント。運動や入浴後のストレッチがよい
●伸ばしたい筋肉を一度使って伸び縮みさせ、その後ストレッチするとより伸びやすい
●ストレッチ時に鋭い痛みを感じるときはムリをして伸ばさない

(文=西村 典子

次回、第84回公開は01月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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