試合レポート

東海大三vs北陸

2013.10.20

東海大三vs北陸 | 高校野球ドットコム

先制打の高井ジュリアン(東海大三)

15年ぶりの決勝へ、エースが投打で牽引!

東海大三はエースの高井ジュリアン(2年)が投打でチームを牽引。北信越大会では15年ぶりとなる決勝進出を果たした。

今大会の2試合とも、1回に先制している東海大三が、北陸の先発左腕・小林優大(2年)にどう立ち向かうがが、このゲームの注目ポイントだった。

その1回、東海大三は1番の小林健二(2年)が三振、2番棚田悠太(2年)はショートゴロ、3番原雄士(2年)も三振と、三者凡退に倒れてしまう。今大会でのパターンが初めて崩れた形だ。
「1点も取れず、淡泊な形で終わってしまった」と藤井浩二監督は、相手の小林を乗せてしまったと感じた。

ただベンチでは、三者凡退の中でも、攻略へのポイントを見いだそうとしていた。
「スライダーが良いぞと話していました。初回はのけ反るバッターや、避けてストライクになるバッターがいた。そのスライダーが見極めよう」とベンチでの会話を小林健二主将は明かす。

その会話が2回、攻略の糸口に繋がった。
先頭の4番浦野雅也(2年)がヒットを放ち、相手マウンドの小林からリズムを奪うと、死球や犠打などで二死一、三塁とチャンスを作った。
ここで打席に入ったのが8番の高井。「初回三者凡退の焦りはなかった。初戦から良い左ピッチャーと当たってきたので」とポジティブに捉えていた高井が、小林の4球目を打ち返す。打球は左中間を破る二塁打となり、二者が生還。エース自らのバットで、ポイントの先取点を東海大三が取った。

「自分は(バックの守備と打撃に」支えられている立場。今日の試合は自分のバットで2点を取れたのが大きい」と二塁打を振り返った高井。藤井監督も、「高井が打って取った得点は大きかったと思います」とエースのバットでの活躍を讃えた。
3回にも1番小林の三塁打から起点を作り、2番棚田のタイムリーと4番浦野の内野ゴロの間に2点を追加。相手先発・小林のスライダーを見極めて、得点を重ねた東海大三。一方の北陸・谷津田伸二監督は4回に投手交代を決断した。


東海大三vs北陸 | 高校野球ドットコム

投げては無四球完投のエース高井

投げる方の高井は、中盤に北陸打線の追い上げにあったが、5回終了後のグラウンド整備にこれまでのピッチングを振り返っていた。
「前半は少し力んでいた。下半身が使いきれず、腕だけで投げていたので、打者が見えやすかったと思います。それを確認して、一呼吸置いて、落ちつこうと思いました」。

後半は前半とは比べ物にならないほどリズミカルになった。打たせて取る所と、三振を取りにいく所のメリハリがきいたピッチング。四球を与えないことも、高井の長所だ。

6回、7回、8回と3人ずつ打ちとり、9回二死からヒットを打たれたが、冷静に次のバッターを打ちとって試合を締めた。

しかし高井の言葉に、嬉しさ表れない。勝利の瞬間に拳を握りしめたが、校歌を歌った後には、喜びを見せなかった。
「自分は絶対的エースを目指しているので、今日のピッチングは点数をつけられるほどではないです」。

マウンドに上がった以上、「誰にも譲りたくない」と強い意志を持つエース・高井ジュリアン。決勝の相手は日本文理に決まり、「投げるのが楽しみ」と目を輝かせていた。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉