西城陽vs峰山
山中開投手(西城陽)
指揮官が大化けを期待するエース
9回裏。5対2とリードが広がって西城陽の背番号『1』山中開(2年)が、マウンドに上がった。
「打てるものなら打ってみろという気持ちでした」。
四球とヒットでややピンチは招いたものの、スタイルは変えない。自信のある直球で峰山打線に立ち向かい、2つの三振を奪って、ゲームを締めた。
この試合、先発してゲームを作ったのは背番号『10』の伊達一真(2年)。山中はブルペン待機で出番を待っていた。
1対0のリードから、6回にひっくり返された時も、継投はない。
「山中がバリバリのエースでやれたら、このチームはもっと強くなる。ただ、夏休みの途中からノーコン病になってしまって・・・」と南條浩一監督は継投のポイントを探りながらも、エースの状態が気にかかっていた。
ただ、その伊達が打撃で波に乗れていなかった。
7回、8回で再逆転した後の9回、先頭打者が9番伊達の所で、南條監督が代打に平木翔吾(2年)を送る。
「このまま3対2で逃げ切れるとは思わなかった。もう一度山場がある。伊達に(最後まで)執着するとえらい目に合う気がした」と指揮官。1点をリードしている場面ではあったが、この後マウンドに送るエースに対して、何とか追加点をあげたいという『勝負の代打』だった。
結局この平木が死球で出塁し、二死二、三塁とチャンスを繋いで、4番大野翔馬(2年)が放ったショートゴロが、イレギュラーしてレフトへ転がるという幸運で2点が入り、指揮官仕掛けた勝負が当たった西城陽。
その裏、3点差と広がっての山中のマウンド。これまでの秋の大会では、8イニングで12四球だったという。でも、「ブルペンで真ん中に球が来ているというので、真ん中でいけと言いました」と指揮官はエースのスタイルを信じて送り出した。
「夏の(大会までの)疲れもあって、下半身が使えず、上半身だけで投げていた。夏休みの間に色んな方に教えてもらって、修正してきました」とエース・山中は復活に手応えを感じている。
176センチ75キロの体から繰り出される力強い直球。「彼は持っている球が違う。ウチのチームでは久々に外に見せられるエースになれる子だと思っています。大化けするだけのものを持っている」と南條監督が期待する右腕。
苦しんだ夏場からの復活の兆しを確かに見せ、次週、近畿大会出場を懸けて龍谷大平安との準決勝に臨む。
(文=編集部)