丸亀vs高松北
丸亀が初回に大量11点を挙げる猛攻。3年連続で決勝の舞台へ
丸亀が高松北の好投手・塹江敦哉(2年)を攻略し、3季連続で決勝進出。昨秋の四国チャンピオン・尽誠学園と甲子園を賭けた大一番に挑む。
丸亀は1回裏。先頭打者の車谷康太(3年)が出塁すると、2つの四死球を挟んで4番・池内健人(3年)が左前適時打を放ち、まず1点。続く5番の南亮輔(3年)が四球を選び、押し出しでさらに1点を追加すると、その後も連続適時打などで次々と加点。打者が一巡すると、最後は池内が満塁本塁打を放ち、試合を決めた。
高松北も1回表。一死から渡辺成剛(3年)が左翼越えの二塁打を放ち、好機をつくるも後が続かず、流れを引き寄せることができなかった。
(ピックアップコラム)注目エース渾身のストレートを叩いて先制。丸亀の4番・池内の一打がベンチに勢い
試合前、丸亀ナインは「140キロを超す左腕との対戦は、これまでにない」と話していた。今夏、145km超の速球を連発する高松北のサウスポー・塹江との対戦。もちろん、塹江の攻略なくして丸亀の勝利はありえない。
初回の攻撃。まず先頭打者の車谷が、塹江の今大会最速となる147kmのストレートを叩き、中前安打で出塁。塹江の出鼻をくじき、丸亀ベンチが活気づく。
「いけるぞ!」
続く2番・門田直樹(3年)の打席。3球目で車谷が塹江のモーションを完全に盗み、盗塁を決める。無死二塁に。
その後、門田は四球を選び、続く3番・次田篤史(3年)は死球。塹江の乱調で、無死満塁の好機を迎える。
今大会、序盤から制球難に苦しむ塹江だが、準々決勝の小豆島戦では8四死球を与えながらも、ランナーを背負ってから粘投。完封劇を演じた。ちなみに、これまでの3試合で18回1/3を投げ、失点はわずかに2。防御率は0.98。勝負どころで崩れず、力でねじ伏せるピッチングを披露していた。
そして打席には、丸亀の4番・池内。準々決勝の高松商業戦では、5打数5安打4得点と気を吐いた3番・次田の影に隠れ、わずか1安打に終わった池内だが、ここで4番の矜持を保つ。
カウント1ボール2ストライクからの4球目。塹江が投じた146kmの渾身のストレートを左前に運び、先制点を弾き出す。
ベンチのムードが「いけるぞ!」から「いけた!」に変わった。
池内はこの回にもう一打席回り、塹江から満塁本塁打を放つ。ビッグイニングを築く立役者になったが、得点ではなく、勝負は初打席で決着がついていた。
昨年、一昨年と2年連続して夏の決勝で敗れ、忘れようとしても、忘れられない悔しさが身体に染み渡っている丸亀が、4番の一振りで自信に満ちあふれた時点で。
自慢の速球を完璧に叩かれ、今大会で初めて初回に先取点を与えた2年生エースには、勢いづく丸亀に対応する力はまだ備わっていなかった。
ちなみに、池内は昨夏の決勝。スタメンで登場しながら、7回に代打を送られている。
尽誠学園との決勝での池内。そして、来夏の塹江の成長も今から楽しみだ。
(文=和田 雅幸)