古仁屋vs甲南
「積み重ね」の勝利
派手な長打や、ファインプレーがあったわけではない。守備では1つのアウトを確実に取り、攻撃では1つの塁を確実に進めることを積み重ねたら、2度目の勝利が古仁屋に転がり込んできた。
先発の貞宏樹(3年)は立ち上がり制球が定まらず、四球で走者を出したが「低めに投げていれば絶対に打たれない」と生命線の角度のある直球を柱に、強気の姿勢を貫いた。2回には捕手・南優生(2年)が飛び出した二走を好送球で刺し、二盗も阻止した「援護射撃」で盛り上げた。
前の試合で鹿児島大島や沖永良部が、エラー絡みで負けたのを見て、前和樹監督は、エラーをしないこともさることながら「ミスがあってもあとをカバーすること」を徹底させた。7回までは無失策で守り切り、1つのエラーはあったが、気持ちは切れることなく2時間52分の長丁場を乗り切ることができた。攻撃は4回まで無安打だったが、5回の為元政樹(3年)、福山功偲(2年)の長打を皮切りに先手をとり、中盤以降はバント、走塁、与えられた役割を着実にこなしてどん欲に得点を重ねた。
「楽しんで野球をやろうぜ!」
グラウンドに入る前は全員がそう声を掛け合った。1試合して勝ったことで、気持ちが乗り、地に足つけて楽しんで野球をやることが一番の「基礎、基本」と試合前に心に刻んだ。本番の緊張や、細かなミスはあっても、楽しんで自分たちの野球をやり切ることは最後までぶれなかった。
(文=政 純一郎)