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夏直前!戦力レポート 智辯和歌山高等学校(和歌山)

2013.07.13

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復調に期待がかかるエース吉川雄大

▲智弁和歌山 吉川雄大投手

 智弁和歌山が今年も甲子園で期待できるのは8年連続選手権出場の実績、高嶋仁監督の甲子園へ向けた調整法があるからだろう。

 智弁和歌山は7月の地方大会では8月の甲子園でピークになるように調整を行っている。6月は徹底とした猛練習で、選手を追い込む。そのため、7月までは体のキレがやや鈍る。だが甲子園になって軽い調整を行いピークを迎える。とはいえ、普通の学校ならばそのような調整法はしない。甲子園優勝経験のある監督だからこそできる調整法であろう。その調整法で8年続けて甲子園までに勝ち進んだ。

智弁和歌山が甲子園に行くために欠かせないのが昨年からエース格の吉川 雄大だ。最速140キロを計測するストレート、スライダー、カーブのコンビネーションで勝負する本格派左腕で、しっかりと勝負が出来れば、東邦打線相手にも通用すると考えていた。

 吉川は6月の練習試合でも、連続ホームランを浴び、さらに打たれ続け13失点を喫した経験がある。13失点した後の次のイニングも登板させるか注目が集まったが、高嶋監督は続投をさせた。

 それは吉川の成長の期待を込めての続投だ。吉川が成長すれば、大きな戦力になってくれることは間違いない。また、智弁和歌山は継投で勝ち上がるチームでもある。昨年でいえば、吉川のほかに蔭地野 正起(ニチダイ)、土井 健太郎が投げていた。今年は第2試合で4失点完投勝利をあげた原 大輝(3年)、1年生ながら切れのある速球を投げる中村 龍河(1年)がスタンバイする。多くの投手が奮闘し、9年連続選手権出場を目指す。

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[page_break:選手の底力が試される和歌山大会]

選手の底力が試される和歌山大会

▲智弁和歌山 阪本将太選手

 智弁和歌山といえばやはり打線である。波に乗ったときはビッグイニングを築き、試合をワンサイドゲームにするほどの打撃が一番の魅力だ。今年はどんな打線であるかというと今年は上位に巧打系の選手をそろえ、下位に体格のよい長打力のある選手を揃えた打線。4番で決めるというより、1番から9番まで切れ目なくつながる打線。ビッグイニングを期待出来る打線だろう。

 1番には東邦戦で3ランを放った阪本 将太、最もミート力があり、フットワークのよい守備を見せる3番ショート・大倉 卓也(3年)、東邦戦では7番を打った天野 康大(3年)、正捕手で勝負強い打撃を見せる長 壱成(2年)も注目だ。

 得点力を増すためにも打点を稼げる4番の存在が必要だ。今年の打線4番は時期によってかわっており、吉川、山本、天野が候補となるだろう。どの選手が4番に固定されるかはその選手の状態、結果次第で決まると思うが、ここぞという時に一打が打てて打点を稼げる選手が出てくることを臨んでいるだろう。 

 大会初戦の相手は市立和歌山の対戦が決まった。市立和歌山は甲子園をめぐって争いを続けてきたライバル校。2011年夏も決勝で対戦している。市立和歌山は昨秋、今春含めて二度対戦しており、秋は14対0、春は11対0で大勝している。スコアを見ると有利なように見えるが、何度も同じ相手に限るとは限らないのが野球の怖さ。市立和歌山も三度目は負けてはいられないという思いで臨んでくるはず。それだけに秋、夏と同じようにはいかないだろう。だんだん調子を上げていく智弁和歌山にとっては苦労する相手であることは間違いない。

 ほかでは春季大会準決勝で智辯和歌山に勝利した尾藤強監督率いる箕島箕島と共に決勝進出を果たした近大新宮、豪腕・三好 大生擁する高野山とライバルは多い。まず初戦でただ9年連続選手権を目指すのであれば、このような相手を勝利しなければならず、各選手の底力が試されるだろう。過去の先輩も苦しい試合を経験してきた。それでも最終的には試合をものにして、甲子園の座を掴んできた。今年のチームも先輩に続く活躍を見せたい。

 まず市立和歌山戦が今年の智弁和歌山を占う大事な一戦。勝たないことには甲子園もないが、次に繋がるような内容のあるゲームを展開出来るか。この夏は勝ち進みながら一つずつ修正を行い、成長をし続け、9年連続選手権出場が狙える立場になったときは6月とは全く別人のチームに成長していることだろう。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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