明桜館vs屋久島
実質ノーヒットノーランの完封劇・明桜館
明桜館のエース脇田勇気(3年)が被安打1の好投。
許したヒットは、初回のバント処理でもたついて生かしたものだから、実質ノーヒットノーランに等しい完封劇だった。
初回は四球、内野安打で無死一二塁といきなりのピンチを背負ったが、「あれで気合が入った」と脇田。直球が高めに抜けて制球に苦しんだが、自信を持っているスライダーを中心に投球を組み立て直し、中軸3人を打ち取ってピンチを脱した。
5回までは度々四死球を出し、毎回の球数も多かったが「練習試合でも160、170球は平気で投げる。スタミナは心配していなかった」と山下直樹監督。中盤以降は抜いたチェンジアップも織り交ぜ、投球の幅が広がった。ボールの特徴を理解し、脇田を盛り上げた捕手・西部駿(3年)の好リードも光った。
8回には先頭打者を四球で出すも、エンドランがライトライナーになり併殺。1番・渡辺雄磨(3年)の三遊間を抜けるライナーの当たりは、三塁手・岩戸元気(3年)がダイビングキャッチ。エースが我慢の投球で作った良い流れが「相乗効果」を生んだ。
打線は下位打線の粘りが光った。屋久島の好投手・松田龍青(3年)の球威に、打ち上げる打者が多かった中で、9番・松山幸磨(3年)は3本の長打を放った。いずれも右方向にライナーの打球だった。3回の最初の三塁打が先制のタイムリー、2打席目の5回は3点目の口火を切る三塁打だった。中軸を打てる打力がある松山だが、機動力を買われてあえて9番においている。9番・松山と1番・関亮哉(3年)のコンビで2得点を挙げており、狙い通りの攻めができた。
昨秋、今春はいずれも初戦敗退。勝ち上がる自信をつかんだ勝利だった。
(文=政 純一郎)