隼人工vs与論
3点目をあげた隼人工
仕込んだものは出し切れた・与論
本塁が遠く、無念の6回コールド完封負けの与論だが、内村文彦監督は「仕込んできたものは出し切ってくれた」と振り返った。
想像以上に振りの鋭かった隼人工打線の前に浮足立った。投手を供利龍馬（2年）、松村優（2年）、山活成（2年）と入れ替え、内外野の位置も目まぐるしく入れ替えながら失点を防ごうとしたが、守りでは良いところを見せられなかった。
だが、こだわって取り組んだ打撃では意地をみせた。ファーストストライクから積極的に振っていく。打ち上げる打球が多くて、なかなかチャンスが作れなかったが、攻める気持ちは途切れなかった。5回二死から7番・市大輔（2年）がポテンヒットでようやく初安打を放つと「このままで終わりたくない」と集中していた竹良光主将（2年）がライナー性のヒットを放ち、初めて得点圏に走者を進めた。6回にも丸山が盗塁を決め、相手の動揺を誘って三塁まで進んだ。本塁は踏めなかったが「魂の1点」（内村監督）をとろうと最後まであきらめない姿勢は貫いた。
異動のため内村監督がベンチに入るのは今大会が最後。「サプライズ」で試合後に渡そうとしていた寄せ書きは、宿舎に忘れてきた。「そんな暇があったら、バットを振れ！」と内村監督は照れ笑いでたしなめる。監督の誕生日にケーキを用意してくれるような気の良い仲間たちと、周囲からいつも応援してもらえる与論の雰囲気に魅せられ、毎年9人ギリギリの少人数でも思う存分野球に打ち込めた4年間だった。「与論だからこそ出せるものを最後まで貫いてほしい」と期待を込めていた。竹主将は「全員野球で食らいついていきます」と成長を誓っていた。
（文＝政 純一郎）
