Interview

シアトル・マリナーズ 岩隈久志 選手

2013.02.06

シアトル・マリナーズ 岩隈久志 選手 | 高校野球ドットコム

 堀越高校(東京)で、3年生最後の夏は、西東京大会ベスト4。190センチの大型投手として、その存在を知らしめた岩隈久志投手は、高校卒業後は、東北楽天ゴールデンイーグルスなど3球団で12年間プレーし、2012年からはMLB・シアトル・マリナーズに移籍。
 今回は、岩隈投手から、特別寄稿で高校球児のみなさんにメッセージをいただきました。

■MLB経験者からの特別寄稿!

ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (後編) 
ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (前編)

まずは『自分』がどうあるか

――2012年は一年間、メジャーでプレーされて、環境に適応することに対して、とても前向きな印象を受けたのですが、その中でも最も苦労したことは何でしょうか?

岩隈久志さん(以下「岩隈」) 打者の特徴を掴むことに時間がかかったことですね。マウンドやボールよりも、打者がどういうスイングするのかが、分からなかったので、いろいろ球種を試しながら、打者の傾向を探って行きました。

――岩隈投手は日本で投げていた時よりもストレートの平均速度が3キロほど速くなっていました。トレーニングするにあたって何か工夫したことはありますか?

岩隈 トレーニングの量を増やしました。とくに、インナーを鍛えてきました。また、メジャーは日本に比べて試合数も多いので、肘、肩が万全の状態で投げられるように、調整も工夫しました。

シアトル・マリナーズ 岩隈久志 選手 | 高校野球ドットコム

「アメリカの野球は自主性が強い」

――日本とアメリカでの練習のスタンスで、一番違いを感じたのはどの点でしょうか?

岩隈 やはりアメリカは個人というか『自分』がどうあるかです。練習の仕方は、自分で決めなければならない。コーチは、サポートをするだけ。日本はコーチがメニューを決めていますが、アメリカはそれがない。自由といったら自由ですけど、すべて結果に返ってくるので、厳しい世界ですね。

――とはいえ、岩隈選手は新しい環境の中でも、自分自身で調整をし、結果を残してきました。そこに戸惑いがなかったのも、高校時代から個人練習を多く取り入れてきたからでしょうか?

岩隈 そうですね。高校の時も、自主練習などの時間に、自分の課題を重点的に取り組んできました。それをやることこそ、いずれ自分の自信につながっていくものなのですよね。

[page_break:個の力を高めることでチームは強くなる]

個の力を高めることでチームは強くなる

[pc]


シアトル・マリナーズ 岩隈久志 選手 | 高校野球ドットコム

[/pc]

――高校時代は、自主練習も大事にしながらも、実際の試合ではどのような意識を持って投げていたのですか?

岩隈 自分の力を高めようと思いながらも、とにかく『仲間意識』を持って投げていたのは覚えています。そこだけでしたね。一人のミスで負けることがあるんだということを徹底的に教えられてきたので、誰かのミスをどうカバーするか。そういった仲間意識を僕らは持ってやってきました。

シアトル・マリナーズ 岩隈久志 選手 | 高校野球ドットコム

「どれだけ上手くなりたいかと思うかが重要」

――高校野球はとくに、個人の力に加え、チーム自体の力が勝敗に大きく影響してきますね。

岩隈 そうですね。高校野球の場合は、チーム力によるプレーがとくに勝敗に関わりますから。ただ、その中で、個人の力というのは絶対に磨かなければならないと思うんです。

――個人の練習では、どのようなことを意識するのが上達につながるのでしょうか?

岩隈 まずは、目標は常に持たなければなりませんね。目標に向かってどうやって成長していけるか。どういう段階を重ねていくかを考えていくこと。
 投手でいえば、投げるだけじゃないですね。走ることもとても大事なことでありますし、ボールを投げない時期も必要だと思います。ボールを投げない時期は、感性を磨くことを大切にしてほしいですね。例えば、チームの勝利につなげるために、落ち葉を集めることを始めたり。そういうことも感性を磨くことにつながりますから。

――ありがとうございます。では最後に、高校生のみなさんにメッセージをお願いします。

岩隈 上手くなるためには自分自身がやるしかないんですよね。アドバイスもきっかけでしかないですし。努力して自分のモノにしなければなりません。そうやって自分の力を高めることで、チーム自体も強くなっていくはずです。
 だからこそ、まずは自分がどれだけ、上手くなりたいかという気持ちを持って、どんな練習にも真剣に取り組んでほしいですね。

 岩隈投手、ありがとうございました。
 仲間意識があるからこそ、自主練習にも力が入る。同時に、自分の力を高めることこそ、チームを強くしていく。それは高校時代も、NPB時代も、そしてメジャーでプレーしている今現在でも変わらない岩隈投手の考え方なのです。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?