Column

患部を支えるテーピング・装具

2012.09.15

テーピングによって患部をサポートする

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

ケガ予防のためには、ウォームアップやクールダウン、RICE処置など日々のセルフコンディショニングは欠かせませんが、そうはいってもスポーツにはケガはつきもの。野球とて例外ではありません。野球はサッカーやラグビーなどのように相手と激しくぶつかることがあまりないため、突発的なスポーツ外傷はそう多くありませんが、投球など繰り返し行う動作が多いために疲労の蓄積などによる慢性的なスポーツ障害がよくみられます。そういったケガをしたときにテーピングやサポーターなどの装具を利用したことのある選手もいるのではないでしょうか。

今回はケガをした部位を保護する役割をもつテーピングや装具について、それぞれの特徴と気をつけたい点についてお話をしたいと思います。

【テーピング】
テーピングは患部の固定を行ったり、筋力などのサポートとして使用されたりと用途や目的もさまざまあります。正しい使い方をすると身体的にも精神的にも大きな支えとなり、パフォーマンスのアップも期待できます。テーピングを巻くことによって得られる効果をご紹介します。

1)関節の動く範囲を制限する(特に痛めたときと同じような動作が起こらないように制限する)
2)筋肉、靭帯、腱などを補強する(ケガをして弱くなっている部位を支え、補強する)
3)固定や圧迫を行う(ケガをした部位を固定し、圧迫することで内出血や腫れなどを抑える)
4)痛みを和らげる(ケガをした部位をサポートし、グラグラ感が少なくなることで痛みを和らげる)
5)精神的な安心感(「またケガをするのでは」という不安がテープのサポートによって安心感を得られる)
6)フォームの矯正(正しいフォームへとガイドするために、テーピングを用いることがある)

テーピングを正しく巻くためには、機能解剖学の知識が必要となるため、トレーナーなどの専門家に対応してもらうことが必要となってきます。ただし基本的な知識を勉強すれば、自分でテープを巻くことも可能ですので、専門書籍などを参考にしてみるのもいいかもしれません。


体幹を鍛えることで筋肉コルセットを作ろう

【サポーター】
サポーターはテーピングと違って機能解剖学の知識がなくても、自分自身で調節し使用できることが最大のメリットです。ただし自分の身体にあったサイズを選ぶこと、また部位や左右によってもそれぞれにあったサポーターを用意しなくてはならないことなどが、テーピングとの違いになります。よく「経済的にお得なのはテーピングですか、サポーターですか」といった質問を受けるのですが、これはケースバイケースです。ケガをして患部を保護しながらプレーする期間が長ければ長いほど、サポーターのほうが経済的になりますし、逆に数日間でサポーターなしでもプレーが出来るようになったという場合だと、テーピングのほうが効率的ということになります。

手術などでリハビリ期間が長くなると予想される場合、またしっかりした強度のある支持力がほしいという場合などはサポーターがより適していると考えられます。

【コルセット】
コルセットは腰痛の時などに使われるサポーターの一つです。腰痛がひどくなり、「コルセットがないとプレーできない」という状況におちいった選手がいるかもしれません。こちらも身体にあったサイズのものを選び、装着についてはドクターや専門家などの指導を受けて使用することが望ましいです。コルセットによって腹圧を高め、腰椎の支持力を強化することで痛みの軽減につながると考えられます。ただしコルセットは長期間にわたって使用していると、そのサポート力に身体が慣れてしまい、自分で自分の身体を支える筋力が衰えていくことが懸念されます。よく体幹強化が腰痛予防のトレーニングプログラムに組み込まれますが、「コルセットの役割を、自分自身の筋肉が果たせるようトレーニングしていくことが大切」ということを忘れないようにしましょう。

【患部を支えるテーピング・装具】
●テーピングの適切な使用は患部の動きを制限し、痛みなどを和らげる
●テーピングを巻くためには基本的な解剖学の知識が必要となる
●長期にわたって使用する場合はサポーターがより経済的
●サポーターは身体にあったサイズ、左右、部位などを考慮する必要がある
●コルセットの使用は腹圧を高め、腰痛を和らげる効果が期待できる
●コルセットの役割を自分自身の筋力で補うことが望ましい

(文=西村 典子

次回、第53回公開は09月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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