日体荏原vs都立府中
笠原(日体荏原)
課題は決定打
開催会場の日体荏原が登場。ブロック決勝戦をかけて都立府中と対戦。試合は終始、日体荏原のペースで進んでいく。
1回表、日体荏原は二死一塁から4番木村が左中間を破る三塁打を放ち、1点を先制。さらに2回表、一死三塁から8番相川の犠打で1点を追加。さらに3回表、2番浦川の右中間を破る三塁打で、1点を先制。3番冨里のセンター前ヒットでさらに1点を追加。
その裏、都立府中は一死から9番小池のライト前ヒット、1番松原のレフト前ヒットで一、二塁。2番佐藤が三塁前へ犠打。笠原が処理するものの、オールセーフとなり、一死満塁。振り逃げで1点を返す。
しかしその後も日体荏原は小刻みに点を追加。6回表、8回表に1点ずつ追加。
投げてはエースの笠原 航平が好投。185センチ85キロと恵まれた体格を誇る右腕。手足はそれほど長くないが、体つきは他の選手に比べれば際立つものがある。投げ方は右のスリークォーター。今夏の甲子園に出場した秋田商・近藤卓也のようなフォームと例えればイメージが沸きやすいかもしれない。
球速は130キロ前後で、それほど速いストレートを投げる投手ではないが、スライダー、カーブ、チェンジアップの精度が高く、いつでもストライクを取れる安定感がある。変化球を軸に投球を組み立てていき、追い込んでからはさらにコーナーへキレのある返球で打ち取る。中々キレが良く、都立府中打線は捉えきれず、振り逃げよる1点のみ。笠原は8回まで投げて被安打6、10奪三振、無四球の快投でマウンドを降りる。
9回表、日体荏原はさらに相手の失策が重なって一挙7点を入れる猛攻。9回は左アンダースロー近葉、右上手の筒井のリレーで代表決定戦進出を果たした。
しかし、日体荏原としては9回になる前に試合を決めたかった。例えば初回に三塁打で先制した後は中押しできなかったり、7回には一死三塁のチャンスを作って、後続が続かず無得点。8回も浅い犠牲フライによる1点のみ。この浅いレフトフライは普通のチームの外野手の肩、守備力ならば突っ込めない当たりだろう。実質0点だ。残塁は11に到達。9回表の7失点は相手野手が崩れたものであり、首脳陣は自分たちの実力で獲ったと評価していないだろう。それは次回に向けての反省点。
何もかもヒットにするのではなく、上位打線は下手にアウトにならず、走者を確実に進める進塁打。三塁の場面では犠牲フライ・スクイズ。上位打線ならば確実に打てる勝負強さ。高いレベルだが、強いチームは難なくこなしていっている。日体荏原がそういう高いレベルの野球に到達できているか注目していきたい。
(文=河嶋宗一)