徳之島vsれいめい
堅守、足攻…「たくましさ」感じた一戦
エース前元良太（3年）を中心にした堅守、果敢に先の塁を狙う足攻…
強豪・れいめい相手でも名前負けせず、徳之島は、堂々と自分たちの野球をやり切って勝利した。田村正和監督は「子供たちが本当にたくましくなった」と力強く言い切った。
春に樟南に勝った頃よりも、一回り力強くなった印象がある。一番の原動力は前元の粘投だ。立ち上がりに連打を浴びて1点を失ったが、2回以降は一度もホームを踏ませていない。一番の持ち味は「修正能力の高さ」と田村監督は話す。
春4回戦で鹿児島情報に敗れた試合で1イニングだけ集中打を浴びて敗れたことを反省し、夏までは「1回、1回集中すること」をテーマに掲げて練習してきた。
この日はシンカーやカットボールを駆使して、打者の狙いを巧みに外す絶妙の投球術で「2回以降は点が取られる気がしなかった」と前元は振りかえった。
前元を支えた守備も光った。内野陣は強い打球も前に落とし、抜けそうな当たりにも食らいついて再三の好守でチームを盛り上げた。ショートを守る折田卓斗（3年）は「前元が狙い通りに投げてくれるから、打球を予測して守れている」と言う。
7回にはポテンヒットをライトが弾いた球をファースト・永大志（2年）がカバーし、二塁で刺した。「一死二塁」のはずが「二死走者なし」になった好プレーだ。
「ボール少しそれたけど、折田さんがうまくカバーしてくれた」と永。折田は「永が思い切って良いボールを投げてくれた」と言う。「緊張する初戦を無失策だったのは初めて。しびれるような試合だった」と田村監督は評した。
攻撃では、得意の足技で揺さぶったことが功を奏した。7回の同点劇はダブルスチールで奪ったもの。終盤の勝ち越しも果敢に盗塁を仕掛けてチャンスをつかみ、相手バッテリーや守備陣の動揺を誘って好機を作り、前元の勝ち越し打につながった。「このチームはこういう野球でしか点が取れませんから」と田村監督は謙そんする。だが、この野球こそ、徳之島が上位チームに勝ち進むカギになると確信を持てた試合でもあった。
(文＝政純一郎)
