Column

夏の試合で心がけたい水分補給

2012.06.30

梅干しに含まれる塩分・クエン酸を上手に利用しよう

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

いよいよ夏の大会間近となってきました。もうすでにスタートしている地域もあり、選手の皆さんにはベストコンディションで試合に臨んでほしいと思っています。さて今回は夏の試合で心がけたい水分補給に関することについてお話をしてみたいと思います。「水を飲むな!」と言われた昔とは違い、「水を飲め!」と言われることも多くなりました。でも水を大量に飲みすぎるとパフォーマンスが下がってしまうこともあるのです。どうしたら脱水を予防し、かつ、パフォーマンスに影響なく水分補給ができるかを考えてみましょう。

試合になるとチームで飲み物を準備したり、時には父母会の皆さんが準備してくれることがあると思います。夏の試合では水分をこまめに取ることが大切だと言われていますが、水分を大量に摂りすぎた場合のコンディション不良についてはあまり知られていないのではないでしょうか。水分を大量に飲みすぎるとお腹が重くなり、軽快な動きに支障が出るようになります(いわゆるお腹チャプチャプの状態)。さらに水分のみを取り続けると血液中の電解質バランスが崩れて、筋肉のけいれんなどが見られるようになります。さらに状態が悪くなると低ナトリウム血症という、血液中の水分が塩分に比べて異常に多くなってしまう状態となります(水中毒=最悪の場合には死にいたることもある)。

こういった状態を避けるためには、水分補給とともに適切な塩分も補給するようにしましょう。一般のスポーツドリンクでは糖分濃度が高く、塩分濃度はさほど高くないため、スポーツドリンクを大量に飲むことでも低ナトリウム血症の症状を示すことがあります。スポーツドリンクを2~3倍に薄めて飲むと、小腸からの吸収が早くなると言われているのでオススメしたいのですが、この場合は同時に塩分もとるようにします。直接塩を準備しておいてなめることでもいいですし、梅干しや塩昆布など塩分を含む食べものをとることでも構いません。薬局などに行くと経口補水液といって、食塩とブドウ糖を混合したドリンクやゼリーなどがありますので、あらかじめこういった脱水対策のドリンクを準備しておくことも一つです。


汗で失った水分・塩分を補給することを心がける

パフォーマンスを落とすことなく、脱水を予防するためには、運動で出る汗を目安にしながら水分と塩分を補給することが大切です。ただしダラダラとかく汗だけではなく、じっとしているだけでも皮膚から水分は汗となって蒸発していますし、風などで渇いてしまうことも考えられます。運動中はこまめに一口~コップ一杯程度の水分を30分~1時間を目安にとること、試合中であれば、イニング毎でとることもいいかもしれませんね。また本来であれば経口補水液のような塩分濃度をもつ飲み物をとりたいところですが、しょっぱいと感じることが多いと思いますので、水分+塩分という組み合わせだと水の摂りすぎも予防出来るでしょう。

お茶を準備していることも多いと思いますが、緑茶やウーロン茶などにはカフェインが含まれています。カフェインは利尿作用をもたらすため、あまり大量に飲みすぎるとトイレが近くなり、水分補給しているつもりが、脱水症状におちいってしまうといったことも考えられます(麦茶にはカフェインが入っていないので大丈夫です)。カフェインの入っている紅茶、コーヒーなども同様です。あまり神経質にならなくてもいいと思いますが、できれば麦茶や、水、スポーツドリンクなどを飲めるようにしておけばよいでしょう。

これから暑い夏の大会に向けて、体調を崩すことなくベストコンディションで臨むには水分・塩分補給が不可欠です。上手な補給法を知って、パフォーマンスを落とすことなく試合に臨んでくださいね。

【いかにパフォーマンスを落とさずに水分補給するか】
●汗などで失われた水分と塩分を補給することが大切
●水分のみを大量に飲みすぎると、電解質バランスが崩れて身体に影響が出る
●薄めたスポーツドリンクは水分補給に適しているが、同時に塩分をとることも忘れずに
●試合中はイニング毎などうまく時間を決めてこまめに水分+塩分補給を行う
●カフェイン入りの飲み物は利尿作用があるので、あまり大量に飲みすぎない(麦茶はOK)
●脱水症状対策に経口補水液を準備しておくことも一つの方法

(文=西村 典子

次回、第48回公開は07月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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