所沢商vs白岡
白岡、9回に1点差に迫ったが…
終始自分たちのペースを失わなかった所沢商が勢いの白岡を下す
7回を終えた時点で共に6安打。しかし、スコアは3―1で所沢商がリード。それは、そのまま四球と失策の差でもあった。
先制したのは白岡で4回、3番広瀬君が中前打で出ると、バントで進め知久君の右前打で帰した。これで、白岡が試合の主導権を取っていくのではないかと思われるような展開だった。
しかし、所沢商は5回に反撃する。四球などで1死一二塁とするとチームでもっとも頼れる打者といわれている1番土屋君が左前打して同点。さらに、白岡に守りのミスが二つ重なって所沢商が逆転した。
所沢商は6回にも四球の走者をバントと内野ゴロで進めると、9番斉藤海君の中前タイムリー打で突き放した。結果的には、これが決勝打となっている。
所沢商の左腕渡会君は終始、歯切れのいい投球で、自分のペースを崩さないという姿勢もよかった。9回には、いくらか勝ち急ぎという気持ちもあったのか、広瀬君、大嶋君と3、4番に連打され、バントで二三塁となる。一打同点もあり得るという場面になったが、ここで白岡は6番山本君が中前打して三走が帰って1点差とする。なおも、1死一三塁で白岡としては逆転の可能性もあったのだが、以降を所沢商の渡会君が抑えきって安打数では劣りながらも接戦を制した。
勝利に笑顔の所沢商ナイン
1976(昭和51)年と78年、83年と夏は3度甲子園出場の実績がある所沢商である。チームを率いる福地利彦監督は2度目の甲子園となった78年の主戦投手であり、同校としては唯一の甲子園勝利を記録している投手でもある。それだけに、福地監督としても名門復活への期待は誰よりも強く感じているところでもあろう。
ベスト8進出でシード権を獲得したことに関しても、「ウチはまだベスト16や8に慣れるだけの力はありませんよ。ただ、ここへ来て自分たちのいい面が出ていると思います。(2年生中心なので)試合経験の少ない子たちですから、どうしても試合運びに安定感がないのですけれども今日は大きく崩れることがなかったのがよかったですね」と、振り返っていた。
安打数は白岡に上回られたものの、結果的にはスコアでは相手を上回れたということも、大きかったであろう。
白岡は今春、上尾から異動してきた鳥居俊秀監督が指揮を執っていたが、早々のベスト16進出となった。チームとしては、初めて夏のシード校として挑むこととなった。鳥居監督にとっては、所沢商は初任校でもあり、そんな因縁も絡む対戦でもあった。
(文=手束仁)