高松商vs高瀬
背番号9もスタメンマスクを被った吉川隼人(高松商2年)
昨秋四国ベスト4の高松商、「要観察」付きの圧勝
昨秋は県大会優勝。続く四国大会もベスト4まで進出した高松商。しかしながら、四国大会における極度の打撃不振がたたり、センバツ選考では四国地区でも明徳義塾(高知)に続く補欠2位校に終わった。
よって彼らにとって、この春季香川県大会は第1シードとして単に秋春県大会連覇という結果だけがノルマではない。「補欠校に選ばれたことよりもセンバツに出れなんだ悔しさしか残っていない」(黒坂季央監督)感情を胸に、体力強化と思い切りよいバッティングに取り組んできた成果を試合内容で示すこと。それが96年夏以来、実に15年以上もの間遠ざかる住み慣れた場所、甲子園へ向けて一番の近道だからである。
ただし、秋の県大会初戦の再戦となった高瀬戦のみを見た限りでは、その成長度合いをはっきり認識できる要素は少なかったといってよい。点差こそ3点差(5対2)の僅差から10点差の圧勝へと変化したが、その全ての得点は相手失策や暴投絡み。
「特にランナーを置いたときのバッティングは、ただバットに当てるのが精一杯な感じ。バットを振らされた感じでしたね」と指揮官も嘆いたように、畳み掛けられる場面で内野ゴロの山を築かされた点は大いに反省すべきであろう。
その一方で、もちろん評価すべき点もある。チーム8安打中6本の長打はいずれもライナーで外野の頭ないし、間を鋭く破ったもの。常時130キロ前半をマークできるようになった絶対エース・谷川宗(3年)の状態と共に、パワーが明らかに付いた点は、今後に向けて明るい材料だ。
「練習はしっかりできた。あとはゲームの中でそれをいかに出せるか」(黒坂監督)。そして「要観察」が付いた高瀬戦の評価がどのように変化するか。真価が問われる次戦以降に期待したい。
(文=寺下友徳)