試合レポート

神村学園vs鹿児島城西

2011.10.20

神村学園vs鹿児島城西 | 高校野球ドットコム

得点シーン

「うちらしい野球」できた・神村、「リベンジ」果たせず・鹿城西

 神村学園鹿児島城西。決勝戦は、現時点の県下で最も力のある2強が互いに持ち味を出し合い、より力で勝った神村に軍配が上がった。山本常夫監督をはじめナインは「うちらしい野球ができました」と胸を張った。
攻撃では「打てなくても点を取れる野球」(山本監督)を発揮した。

最速140㌔の鹿城西・中村からは神村の強力打線といえどそう連打は期待できない。三、八回の得点シーンには足と相手のミスをうまく絡めた。三回、チーム初安打の二塁打で出塁したリードオフマン新納真哉が三盗を敢行。「投手が背中を向けたら足を活かす。それがうちのセオリー」と山本監督。

「ラン&ヒットだったのでスタートは少し遅れたけど」(新納)

俊足を飛ばして三塁に滑り込み、捕手の悪送球を誘って労せず先制のホームを踏んだ。

 八回の3点の口火を切ったのは2番・田中貢大だった。「自分の役割は長打じゃない。足を活かして塁に出ること」と初球意表を突くセーフティーバントで出塁。二盗を決めてチームの士気を盛り上げた。続く平藪の当たりは、右翼手が目測を誤って転倒し、ラッキーな勝ち越し三塁打になった。3点目は瀬口の犠飛。きちんとした適時打で点を取ったのは4点目の中園のみ。「少ないヒットで点を取る」(山本監督)神村野球の面目躍如の得点シーンだった。


神村学園vs鹿児島城西 | 高校野球ドットコム

平藪(神村学園)

 エース平藪樹一郎の好投も光った。中盤以降、相手に流れが傾きかけ、六回二死から内野安打、連続四死球で満塁のピンチも「腕をしっかり振って全力投球なら絶対抑えられる」と強気の3球勝負で二ゴロに打ち取る。九回一死二三塁の場面は連続三振で切り抜けた。勝負球はいずれも右打者の内角低めの直球。どちらもバットを振らせなかった絶好球に「最高でした」と笑みがのぞく。山本監督も「どんなピンチでもぶれない、あいつの人間性の真骨頂」と賛辞を惜しまなかった。

 8月の南薩地区大会準決勝で0―5の完封負けを喫した「リベンジ」を合言葉に神村学園に挑んだ鹿城西だったが果たせなかった。「エラーと大事なところで打てなかったのが悔やまれる」と恵大樹主将は唇をかんだ。
三回の失点は悪送球、八回の3失点には、エラーこそつかなかったものの、バント処理ミスや右翼手が打球の判断を誤って転倒するなど、記録に現れないミスが絡んだ。エース中村正利が好投し、五回に元吉の長打で同点に追いつき、六回には二死から満塁の好機を作るなど、流れを引き寄せかけたが、あと一本が出なかった。

 それでも井上隆三監督は「南薩で対戦した時は力負けだったけど、今回は何かがかみ合えばいける手ごたえはあった」とチームの成長を感じている。好投報われず敗戦投手となった中村は「七回まではピンチの場面でも集中力が切れなかったけど、八回には切れてしまった。エラーがあっても抑えられる投手になりたい」と更なる成長を自らに誓っていた。

(文=政純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?